2023年(令和5年) 10月7日(土)付紙面より
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秋はおいしい食べ物が出回る季節。そしてスポーツの秋でもある。体を動かし、おなかがすけば食事もおいしい。どちらも健康のための土台になることだ。特に高齢者は認知症発症を予防し、転倒してけがをしないためにも、運動も食事も意識して考え、健康な体づくりをしたい。
スポーツ庁の2022年の児童生徒の全国体力・運動能力、運動習慣等調査は、児童生徒の体力が低下しているとの結果だった。新型コロナウイルス禍で生活パターンが変化し、体を動かさなくてもよい社会環境も増えたと指摘されている。9日はスポーツの日。あらためて体を動かすことの大切さに思いを巡らしたい。
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県内の傾向では、体力合計点で小学5年の男女が全国平均を上回り、中学2年では男子が上回り、女子は下回った。全体的には調査を始めた08年度以降で、最も好ましくない結果だった。県は児童生徒の生活習慣の乱れと肥満の増加、運動意識の低下があるのではないかと分析している。体を動かす機会が減った背景にはテレビ、ゲーム、スマートフォンなどの映像を視聴する時間が増えたためではないかという。
長寿社会を迎え高齢者も運動習慣を持たねばならないのはもちろんのこと。「ロコモティブシンドローム」(運動器症候群)は、加齢とともに骨、筋肉、関節の機能が徐々に衰えることを指す。一番の原因は運動習慣がないこととされ、厚生労働省は65歳以上ならラジオ体操のような軽い運動10分間+散歩など、強度を問わず毎日40分程度体を動かすよう推奨している。
人は不死身ではないから誰もが死を避けられない。ならば健康で天寿を全うしたい。そのために日頃の健康管理を怠れない。公共交通機関が十分整備されていない地方は車に頼る機会が多い。都会では電車の乗り降り、階段の昇降、急ぎ足で職場に向かうなどで、意識しないで多く歩いている人々は多い。地方では意識して運動している様子をよく見掛ける。
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運動することで、人間の基礎的身体能力を高め、「健康で生きる」ための力を備えることが肝心のようだ。スポーツジムに通っている中高年もいる。公園でゲートボールやグラウンドゴルフをしている高齢者のグループを見掛ける。体を動かして語らい、和気あいあいとしている様子は、心身ともに健康的だ。
もう一つ「年を取ったから食事は簡単で」は禁物。野菜はもちろん大事だが肉、卵、魚、乳製品などの動物性たんぱく質をしっかり食べるように専門家は指摘している。カルシウムの摂取量が多いと認知症のリスクが下がるといわれている。物価高の秋でもあるが、老若ともバランスの取れた食事と運動を心掛ける。健康な体をつくるのに、秋は格好の季節である。