2023年(令和5年) 10月7日(土)付紙面より
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山形県神社庁長で出羽三山神社名誉宮司の宮野直生氏(76)の神職身分特級昇進を祝う会が5日、鶴岡市のグランドエル・サンで開かれた。神社本庁をはじめ全国各地の神社関係者や出羽三山神社の崇敬者ら約300人が集い、宮野氏の功績をたたえた。
神社本庁の規定による「特級」は、神職身分の中では最高位となり、今年2月に授与された。宮野氏は國學院大文学部神道学科を卒業後、地元・鶴岡市大山の皇大神社宮司に就いた後、1973(昭和48)年に出羽三山神社の神職となり、権宮司を経て2014年に第24代宮司に就任。今年7月18日に名誉宮司となった。
特級昇進を祝う会は、東北5県の神社庁長と旧庄内藩主酒井家第18代当主で出羽三山神社崇敬会の酒井忠久会長、同神社の阿部良一宮司らが発起人となって開いた。来賓で出雲大社の千家尊祐宮司や全国各県の神社庁長や神社宮司、出羽三山神社特別顧問の新田嘉一平田牧場グループ会長らが出席。発起人代表で宮城県神社庁の鍵三夫庁長があいさつし、「50年にわたって東北を代表する聖地の出羽三山の振興に尽力し、全国から厚い崇敬を集められた」と宮野氏の功績をたたえた。神社本庁の田中恆清総長、伊勢神宮の久邇朝尊大宮司(代理)、酒井崇敬会長らが「信念の塊のような人」「幅広い交流と人望を基に類まれな実行力を発揮して活躍された」と人柄に触れながら祝辞を述べ、吉村美栄子知事がお祝いのビデオメッセージを寄せた。
祝福の言葉や花束を贈られた宮野氏は、明治初めの神仏分離という苦難の時代から昭和の終戦後まで国家神道時代に歩んだ歴代宮司の出羽三山に対する思いと時代に合わせた信仰の変革を紹介した上で、「出羽三山という広大な境内の御山を守るため、さまざまな課題に直面しながらクリアしてきた。人と人との心の付き合いが御山の護持につながった」と感謝を伝えて謝辞を述べた。
出席者には出羽三山神社が刊行した書籍「出羽三山―黎明(れいめい)の光を浴びて 歴代宮司を振り返る―」が贈られた。