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2023年(令和5年) 10月14日(土)付紙面より

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一日一題 羽越本線百年を再生への節目に

 羽越本線が2024年7月31日、全線開通から100年を迎える。それを祝う記念ロゴが作られた。羽越本線の魅力である美しい海岸線と日本海に沈む夕日を背景に「蒸気機関車」から「特急いなほ」に受け継がれて走る図柄をあしらった。鉄道は100年間で大きく発展した。本来なら「蒸気機関車から羽越新幹線」へと受け継がれた図柄を見たかった。

 羽越本線の工事は新発田駅―村上駅間で着工。1915(大正4)年に秋田までの建設が決まり、18(同7)年9月、余目駅と鶴岡駅間が開通すると、『荘内新報』は、〈汽笛一声庄内平野に響く〉と沿線住民の喜びを報じた。しかしその後、羽越本線の整備は他路線より遅れる。

 羽越本線は新津駅から秋田駅までの約271キロ。最後の工事区間の村上駅と鼠ケ関間がつながって全線が開通した。青森―大阪間、秋田―上野間などに急行、寝台特急の運転、複線化が進むとブルートレイン、豪華観光列車「四季島」などが走る一方、貨物列車による物流の動脈としての機能を果たした。しかし大都市圏の鉄道は羽越本線をしのいで近代化が進んだ。

 全線開通100年を前に、羽越本線が逆風下にある。車社会に押されたことに加え、人口減少で利用者は減る一方。JR東日本の統計によると、1日の輸送密度は2016年と22年比で▽村上―鶴岡間が1795人から1171人▽鶴岡―酒田間が2197人から1527人▽酒田―羽後本荘間が987人から723人へと、それぞれ30%前後減っている。陸羽西線の新庄―余目間は345人から148人に減った。

 一方、輸送密度から見えてくるものがある。人口が多い都市近郊は利用者が多いということだ。奥羽線の山形―新庄間は5483人から4214人、左沢線の北山形―寒河江間は4773人から4214人だが、減り幅が小さい。高校生の利用者が多いことが背景にあるようだ。庄内5市町の総人口の減少が加速していて、少子化を考えると、今後の羽越本線の利用者の減少を心配しないわけにいかない。

 国土交通省は利用が低迷している地方鉄道の再編に向け、JRや沿線自治体と調整する「再構築協議会」設置を本格化させるという。改正地域公共交通活性化再生法などによって、大量輸送の利点を発揮できないケースについては、路線の維持、廃止、バス転換など地域の実情に適した交通手段を話し合う。

 羽越本線の記念ロゴマークはJR東日本新潟支社と同秋田支社が共同で作成した。狙いは開通100周年を祝うためだけではない。100年を節目に羽越本線が担うべき本来の役割をあらためて考え、利用促進を図ることにある。14日は「鉄道の日」。「羽越本線は地域の宝である」ことを再認識したい。

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