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2023年(令和5年) 10月14日(土)付紙面より

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鶴岡発がん克服へ研究にまい進 若手研究員の田畑さん、成田さん

 庄内地域産業振興センターと国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室・牧野嶋秀樹チームリーダーによる研究グループは、悪性がんの小細胞肺がんにおけるプリン核酸生合成の代謝特性に関する論文を米国がん学会の機関誌「Molecular Cancer Research」で発表した。掲載日は9月29日。論文の執筆には同研究室の若手研究員や研究補助員が関わった。難病のがん克服のため日夜研究を続ける若手研究員の2人を紹介する。

 論文に関わったのは、国立がん研究センター鶴岡連携研究拠点がんメタボロミクス研究室の研究員・田畑祥さん(42)と、研究補助員の成田美優さん(26)。

 田畑さんは鹿児島県出身。徳島県の大学を卒業後、薬剤師などを経て慶應義塾大で助教や講師として教壇に立った。海外留学や大阪大講師など務め、今年4月に国立がん研究センターへ。以前、慶應義塾大先端生命科学研究所に在籍し長く鶴岡市に住んでいたこともあり、「久しぶりに古里へ戻ってきた気分になった」と笑う。

 先端研にいたころからがんの代謝の研究を続けてきた。「国内外でがん代謝の基礎研究を続けてきて、国立がん研究センターが臨床に近い位置で研究できることが分かった。メタボローム解析を活用し、さまざまな分析、実験を通して患者の治療に貢献できるような、より実践的な研究をする環境が整っている」と話す。

 一方、成田さんは青森県出身。弘前大、同大大学院卒業後、研究技術員関連の派遣会社に入社し、2021年4月に国がんの研究所所員として鶴岡市に移ってきた。「鶴岡は自然豊かで平野が広がっていて住みやすい。青森と気温などが少し違うので慣れるのが大変だった」と話す。特に夏の暑さに閉口したという。

 大学では、高い再生能力を持つことで有名なプラナリアの生殖や代謝酵素の関与などについて研究を続けてきた。国がんに派遣されてからは乳がんに関する研究を始めた。これまでの研究分野と全く違うため「新しい知識を仕入れないと」と毎日奔走している。

 2人が関わった論文の中核となる小細胞肺がん(SCLC)は、悪性度が高く罹患(りかん)すると5年間生存できる確率は10%未満。そのため新しい治療法の開発が切望されている。

 SCLCの中で核酸が生合成されるには、「新生合成経路(デノボ経路)」と「再利用経路(サルベージ経路)」の2つのパターンがあり、今回の論文は両経路の役割を包括的に検証。さらにサルベージ経路の酵素「HPRT1」が小細胞肺がんの増大に重要な役割を担っていることを突き止めた。このHPRT1の遺伝子の働きを阻害することで、がんの増殖を止められる可能性がある。

 田畑さん、成田さんとも鶴岡市に住みながら、日夜がん克服に向けた研究に没頭している。田畑さんは「以前、6年ぐらい住んでいたけど今でもお年寄りの話す庄内弁は10%程度しか理解できていない」と笑う。成田さんは「庄内は食べ物が何でもおいしい。寒ダラ汁は未体験なので今度の冬は挑戦してみたい」と話していた。

田畑  祥さん
田畑  祥さん

成田 美優さん
成田 美優さん



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