2023年(令和5年) 10月18日(水)付紙面より
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食べ物をかんで飲み込むことが難しい人のため作られた「<嚥下(えんげ)食」の試食会が16日、鶴岡市の湯野浜温泉保養所うしお荘で開かれた。地元の食材を使い食べやすく工夫して調理されたステーキや魚料理などが提供され、嚥下障害のある人たちが試食し、「食べやすくとてもおいしい」と好評を得た。うしお荘に加え、この日に調理を担当した同市内の3店舗が11月から、新たに嚥下食の料理を予約制で提供する。
市内の医療関係者や料理人などでつくる「鶴岡食材を使った嚥下食を考える研究会」が、嚥下障害がある人とその家族の3組をモニターとして招いて開いた。調理を担当したのは、「ブランブランガストロパブ」(末広町)の五十嵐督敬さん(38)、「ナチュラリテ」(錦町)の遠藤和彦さん(44)、「日本料理わたなべ」(野田目)の渡部賢さん(46)の3人。素材を細かくした上で改めて成形したり、とろみを付けるなどし、素材の味そのものを生かしながら食べやすく仕上げるなど工夫を凝らした。
モニターの一人で、脳梗塞のため嚥下障害となった高橋彰さん(78)=井岡=は「味もしっかり伝わってくる。うまい」と満面の笑みで話し、妻の米子さん(72)は「外食するのがおっくうになっていたけど、嚥下食が提供いただければ、また家族みんなで外食を楽しむことができる」と喜んでいた。
同研究会の共同代表を務める摂食嚥下リハビリテーション学会認定士で鶴岡協立リハビリテーション病院の田口充さんは「食べることが難しくなった人にも外食でおいしい食事を楽しんでもらい、それをきっかけに嚥下障害の人がもっと社会参加できるように地域全体で取り組んでいきたい」と話した。同研究会による嚥下食は、うしお荘を含め市内4店舗で提供される。