2023年(令和5年) 10月20日(金)付紙面より
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国土交通省酒田港湾事務所(藤原弘道所長)が、酒田市の酒田北港で行っている藻場などの海洋生態系を活用し、脱炭素化社会に貢献する「ブルーインフラに係る実証実験」で18日、消波根固ブロック研究を行っている「日本消波根固ブロック協会」(東京都)と、産学官で連携し東日本大震災で発生した震災がれきなどの活用を目指す「資源循環コンソーシアム」(宮城県)がそれぞれ実験を開始した。これにより実証実験に参加する5企業・団体全てで実験が開始され、同事務所では「各団体それぞれ特色を生かした実験が行われており、良い結果が得られれば」と期待している。
ブルーインフラは、「藻場・干潟など生物共生型港湾構造物」を意味し、藻場などが吸収するCO2は「ブルーカーボン」ともいわれる。実証実験は同事務所が酒田北港の船溜まりを実験場所として提供し、企業の持つノウハウを生かしながら藻場造成による脱炭素化や生物共生の取り組みを進めようと実施。今年3月に企業・団体に参加を呼び掛け、5企業・団体を選定。今年5月に着手した総合建設業・酒井鈴木工業と石油資源開発の実証実験共同体(代表・鈴木啓一郎酒井鈴木工業社長)を皮切りに、6月に合同会社epco(青森県)、9月に環境内水面資源研究所(鶴岡市)がそれぞれ実験を開始した。
この日は2団体の関係者ら約30人が参加。酒田北港北側の船溜まりに、ブロックの表面に凹凸を作り藻が着床しやすい形状にしたものや、鉄鋼製品の製造過程で出る鉄を活用し、藻の栄養分として海中に鉄イオンを供給する仕組みを取り入れたブロック、環境負荷の少ないジオポリマーを使ったものなど2団体計21基を大型クレーンでつり上げ、水深約3メートルの海中に敷設した。
同コンソーシアムに参画する自動車部品製造業の担当者は「製造業はCO2を出す業種と思われているが、製造工程で出る素材を活用しブルーカーボンという形で自然環境に寄与することができるのでは」と話していた。