2023年(令和5年) 10月22日(日)付紙面より
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県外に住む家族が地域を訪れ、未就学児の子どもを町の保育園に通わせながら短期滞在する「保育園留学」が庄内町で始まった。同町では初の試み。最初の受け入れとなったのは東京都港区在住の航空機パイロット、アードレイ・サイモンさん(44)=英国出身、妻の知沙さん(37)、春斗(はると)君(4)、海斗(かいと)君(0)の一家で、町内のゲストハウスに今月14―21日まで宿泊しながら、子どもたちは車で同町狩川の認定こども園「からふる」(松田透園長)に通園している。同町を選択したのは、首都圏では体験できない自然環境ときめ細かい保育環境が決め手になったといい、知沙さんは「自然に触れ合ったり、多くの人と交流したりと、東京ではできない経験ができている。来年もまた来たい」とこれまでの体験を振り返った。
保育園留学は、地域と子育て家庭をつなぐ留学プログラム。1―2週間程度、子どもが保育園に通いながら家族で宿泊施設に滞在できる暮らし体験で、多様な子育ての選択肢の一つとして北海道や新潟県などで実施されている。県内では同町のほか、米沢市、鶴岡市、西川町の3市町で受け入れが進められている。
同町では保育園留学などに取り組む「キッチハイク」(本社・東京都台東区、山本雅也CEO)と連携し、県の補助事業を活用して実施。0―5歳の子どもとその家族を対象に、今年7月末から募集を開始し、サイモンさん一家のほか、首都圏を中心に3件の申し込みがあった。
このうち、同園での活動の最終日となる20日には、4歳児の親子事業が行われ、サイモンさん夫妻と春斗君を含め、園児とその父母ら計約30人が参加。同園から徒歩で近くの風車村までハイキング。子どもたちは道中、松ぼっくりやクルミを拾いながら歩き、約1時間半で到着。その後、ジャングルジムや滑り台などで遊んだり、家族でお弁当を味わったりなど大喜び。食後にはサイモンさんが英語で読み聞かせを行った。
同町での暮らしについて、サイモンさんは「町民みんなが家族のように温かく、すごくリラックスできた」、春斗君は「友達と一緒に遊んだりして、とても楽しかった」とそれぞれ話した。
知沙さんは「子どもたちに日本人らしさを身に付けてもらいたいと思っており、この時期に庄内町に来られて本当に良かった。本人たちも自然豊かな地で体をいっぱい使って活動し、新しいことを学んだと思う」と満足気に話していた。担当する同町企画情報課移住定住係では「移住定住が究極の目標だが、まずは気軽に来てもらい、この町を好きになってもらえれば」と。同日午後には春斗君のお別れ会が同園で行われ、一家は21日に同町を離れる。
保育園留学は鶴岡市でも22日から1週間、鼠ケ関保育園で行われる。