2023年(令和5年) 10月22日(日)付紙面より
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鶴岡市西目で昨年12月末に起きた土砂崩れ現場で、県と鶴岡市は20日、復旧工事の現況を報道各社に公開した。避難世帯の自宅裏山の掘削工事が今月末に完了の見通しとなり、警報装置も11月末ごろに稼働する見込みを示した。市は安全対策を確認した上で、4世帯13人に出している避難指示解除を検討する。
現場では9月から工事が本格化した。高さ約30メートル、幅約220メートルを対象エリアに、避難世帯の住宅の裏山を先行して丘陵地の上部を7、8メートル削り、搬出する工事を進めている。今月末の掘削完了後、斜面にボーリングして水位計とひずみ計を合わせた警報装置を設置する。同装置は異常を感知したら自動的にサイレンが30秒間鳴り続け、赤色回転灯がついて住民に知らせる仕組み。
鶴岡市が担当する工事を含めた土砂の撤去量は全体で約6万8000立方メートルに及び、年度内の排出を目指す。県は土砂撤去後、斜面を格子状のコンクリート製の枠で覆うのり面工事などを継続する。現場では請負業者がドローンによる3次元測量や重機を自動制御するマシンコントロールなどICT(情報通信技術)を活用して工事を進めている。住宅裏山の工事では、従来の方法より作業日数が約6割短縮するなど成果を上げている。
市の担当者は12月末までに市道や住宅などが崩壊した現場の土砂とがれきを撤去し、その後の整地を含めて年度内の工事完了を目指すとした。がれきの総量は2223トンに上る見通し。避難指示の解除について、市防災安全課の加藤明課長は「斜面の安全性や警報装置の稼働状況を確認した上で検討したい」と話した。