2023年(令和5年) 10月27日(金)付紙面より
ツイート
旧庄内藩主酒井家の祖で、徳川四天王筆頭の酒井忠次公や歴代藩主らの墓がある鶴岡市家中新町の「酒井家墓所」が、忠次公の命日にあたる28日(土)に特別公開される。昨年の酒井家庄内入部400年に加え、今年はNHK大河ドラマ「どうする家康」に家臣団の中心人物として忠次公が登場し、活躍したことを踏まえ、墓所を管理する一般社団法人荘内酒井歴史文化振興会(代表理事・酒井忠順致道博物館長)が初の一般公開を行う。
墓所は酒井家の菩提寺・大督寺の南側に隣接し、広さ約7270平方メートル。広大な墓所には、忠次公をはじめ第17代忠明さんまで、歴代の藩主・当主とその夫人らの墓がある。酒井家の私有地であり、これまで一般に公開されることはなかった。道路に面した墓所の扉も普段は閉じられたままとなっている。
同振興会によると、藩主の墓石のなかには古代中国で東西南北を守るとされた「四神(しじん)」の一つ、玄武に由来する亀に似た台座が使われている。中国の皇帝が位の高い家臣の墓石への使用を許した習わしを、江戸時代の将軍家が踏襲して酒井家に用いることを認めたものとも考えられる。江戸在勤中に死去した藩主の遺体は江戸で埋葬されることが多く、江戸時代の歴代藩主の墓がそろう墓所は全国的にも珍しいという。石造の歴史を知る上でも貴重とされ、鶴岡市教育委員会が2021年度から未指定文化財調査を行っている。
同振興会は、城下町鶴岡の歴史を伝える文化遺産を次代に継承し、新たなシンボルとして整備、公開しようと、19年9月に設立。環境整備に向けて寄付を募り、クラウドファンディングで支援金を募集するなどして公開に向けた準備を進めてきた。
代表理事で酒井家19代の忠順さん(49)は「地域の方々に支えられてきた酒井家であり、庄内の人々に墓所を知っていただきたいと考えていたが、ようやく公開できる。今後は観光客なども含め幅広い人たちに見てもらえるようにし、庄内の歴史を後世に伝え、未来につなげる場としていきたい」と話している。
無料で行う特別公開は28日午前10時―正午の予定。午前10時から墓所で「歴代酒井家墓前祭」、大督寺で「歴代酒井家追善法要」が執り行われ、参列できる。駐車場は大督寺駐車場か近隣の駐車場を利用する。
問い合わせは同振興会事務局=電0235(33)8901、もしくは致道博物館=同(22)1199=へ。