文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2023年(令和5年) 10月28日(土)付紙面より

ツイート

一日一題 災害の怖さを語り継がなければ

 酒田大火があったのは1976年10月29日。47年前の災害状況を知る人も少なくなりつつある。酒田市が29日、市内一斉総合防災訓練を実施するのは、火災だけでなく、地震や津波に素早く対応できる避難態勢を取るため。人的要因であれ自然要因であれ、災害はないに越したことはない。ただ備えは万全にしておきたい。そして一番の肝心は、いつも「心に防災の心構え」を刻んでいること。

 庄内は比較的災害が少ない地域と言われるが、必ずしもそうではない。酒田大火前の64年6月の新潟地震では犠牲者が出た。大きな被害はなかったが83年5月には日本海中部地震、2019年6月には鶴岡市鼠ケ関沖が震源の山形県沖地震が起きた。昨年の大みそかには同市西目の土砂崩れで2人が亡くなっている。

 酒田大火は強風下、中心街のアーケードが煙突の役目となって火勢を強めた。火災時の強風の脅威だ。酒田はこれからの季節、西風が強くなる。「火が風を呼ぶ」との言葉を聞くことがある。炎の場所で上昇気流が発生し、そこに風が吹き込んでくる。西風が吹く冬は、特に火の元に要注意。昨今の異常気象や温暖化が災害につながらなければいいと願う。

 今年8月、ハワイで起きた大規模な山火事は海岸沿いに建つ住宅街に燃え広がり、死者約100人、2200棟以上が焼けた。雨が少なく、乾燥した突風が発生したためとされている。最近の日本での大火は2016年12月、酒田市同様に日本海に面した新潟県糸魚川市中心部で約140棟を焼失した。原因は飲食店のこんろの不始末。ちょっとした油断が大災害につながった。

 酒田大火から47年。平成生まれの人にとって知らない出来事になった。しかし「過去の出来事」として風化が進む、あるいは歴史の一こまとして捉えられるようなことがあってはならない。当時の惨状を将来世代に語り継ぐことは、市民の防災意識を希薄にさせないことになる。大火経験者の努めとも言える。

 酒田市の総合防災訓練は29日午前8時から、地震・津波・土砂災害を想定して実施する。同10分には大津波注意報が出されたとの想定もある。防災行政無線、緊急速報メールなどで訓練開始情報を発信するが、大事なことは地域の避難訓練に参加しない人も、自宅などで身を守る行動の訓練をすること。非常持ち出し袋の中身や地域の避難所と避難経路、移動手段の確認をしたい。

 大火後、酒田では区画整理と耐火構造の街づくりが行われた。それはハード面でのことであり、一番の防災はいつも「火の用心」を心に刻んでいること。火災の原因は台所のこんろやストーブの不始末が多いという。冬は暖房器具を多用する。風が強くなる季節に向かって、細心の注意を払わねばならない。

画像(JPEG)



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field