2023年(令和5年) 11月2日(木)付紙面より
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鶴岡地区歯科医師会(毛呂光一会長)は1日から、がん治療や骨粗しょう症の治療などで「骨吸収抑制剤」を使用している人のお薬手帳に、「骨吸収抑制薬剤使用中」と表示したシールの貼付事業を始めた。骨吸収抑制剤が関係し、抜歯などの治療後に顎の骨の治りが悪い場合などで、感染による骨壊死(こつえし)が見られる事例があることから、鶴岡地区医師会、鶴岡地区薬剤師会との「3師会」連携で取り組む。同歯科医師会によると、こうした事業への取り組みは県内初の試みという。
骨吸収抑制剤を処方する機会が多い、鶴岡市と三川町の病院、歯科診療所、薬局などに協力を依頼。お薬手帳に貼付するシール、啓発用ポスターを作成し、地区医師会の59診療所、総合病院・リハビリテーション病院など5施設、地区薬剤師会の61薬局に配布した。配布に先立ち歯科医師会会員には事業に関する研修会を行い、医師会と薬剤師会には会合で事業の概要を説明し、協力への快諾を得た。
事業への取り組みは、鶴岡市立荘内病院歯科口腔(こうくう)外科の武石越郎副主任医長からの相談がきっかけとなった。骨吸収抑制剤が関係し、抜歯などの治療後に顎の骨の治りが悪い状態や、口の中の清掃が不十分な場合、感染により骨壊死が見られる事例が最近増加しているといった内容。これまでも来院患者に対する歯科医院での聞き取りや、お薬手帳記載の薬剤の確認は行われていた。そうした細心の注意を払っても骨壊死が起きる場合があったという。
鶴岡地区歯科医師会の担当者はお薬手帳への表示シール貼付事業について、「関係する皆さんの協力により、われわれ歯科医が安心して歯科治療を行い、患者さんも安心して歯科治療を受けられるようになる」と話している。今後は同歯科医師会管内の庄内町の病院、診療所、薬局へも協力を依頼する。