2023年(令和5年) 11月8日(水)付紙面より
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鶴岡市朝日地域の中学生と住民などが世代を超えて語り合い、地域で安心、安全に暮らし続けるために何が必要か意見を交わし合う「地域語り合い」が6日、朝日中学校(秋山尚志校長、生徒79人)で行われた。グループワークで朝日地域の理想像を書き出す中、多くの中学生が「もっと多くの店があると良い」「自然は残したままが良い」といった考えを示した。
地域語り合いは、東北公益文科大大学院の科目「プロジェクトa」(パートナーシップに基づく地域課題解決の推進)の一環として実施した。同科目は行政や企業、住民組織などと連携し、地域課題解決のためプラットフォーム構築やプログラム、マネジメントなどを実践する。本年度は院生6人が10月上旬から朝日地域でフィールドワークやグループワークを展開している。
この日は朝日中の全校生徒と教員、院生や公開講座の修了者、市朝日庁舎や朝日中央コミュニティセンターの職員、保護者など約130人が参加。参加者を20グループに分け、院生や修了者がファシリテーター(進行役)を務めた。
初めにプロジェクト担当で同大学院公益学研究科長の武田真理子教授が、地域語り合いの趣旨について「人口減少社会においても安心で安全な地域づくりに取り組むことが重要。中学生は朝日地域にとって非常に重要な住民であり、世代を超えた対話で地域の良さを発掘し、課題解決の方法を探ろう」と説明した。
メインのグループワークは「朝日の良いところ」「将来、こうだったら良いな朝日」「朝日とわたし」の3テーマで行われた。中学生3、4人と進行役、地域住民が一つのグループとなり、手作りの円卓を囲んで「食べ物がおいしい」「季節感がある」「地域の人たちがみんな仲良し」など朝日地域の良いところを書き出した。
朝日の将来像については「交通網がもっと発達したら」「大型ショッピングモールがあると良い」「大きい図書館があると良い」など地域の都会化を望む中学生が多かった。一方で「豊かな自然は残したい」「農家をずっと続けられるような地域であってほしい」というものや「高校が欲しい」「医療機関が近くにあると良い」という意見も見られた。2年の佐藤大知さん(14)は「語り合ううちに朝日には思ったより地域特有のものがたくさんあることに気付いた。便利な都会になるのも良いけど、豊かな自然を残したいという複雑な気持ちになった」と話していた。