2023年(令和5年) 11月9日(木)付紙面より
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酒田市の新田産業奨励賞記念講演会が6日、同市の東北公益文科大公益ホールで開かれ、一柳アソシエイツ代表取締役CEOを務める一柳良雄氏が「日本の未来と地域への影響―選ばれる地域になるために」のテーマで講演したほか、元資生堂執行役員常務の関根近子氏、ヤマガタデザイン代表取締役の山中大介氏と鼎談(ていだん)「戦略」「熱量」「知恵」の大切さを説いた。
市が制定する新田産業奨励賞の授賞式終了後に開いている恒例の講演会。一柳氏は1946年1月、茨城県生まれ。68年に東京大教養学部を卒業した後、通商産業省(現在の経済産業省)に入省。73年にはハーバード大学院で行政学修士を取得した。近畿通産局長、総務審議官を歴任。98年に退官後、各種コンサルタントの一柳アソシエイツを設立。2008年には▽人間力▽全体最適対応力▽公の精神▽グローバルな視点―の4点を涵養(かんよう)する機会を提供する「一流塾」を立ち上げた。
この日は2部構成で行われ、第1部は一柳氏の講演。「きれいな花を咲かせるにはどうしたらよいか」と冒頭、聴講者に問い、「目には見えないが、良い土を作ることが大切。それは会社も同じ。風土ややる気など目に見えないものを大切にしてほしい」と続けた。異なる2つの視点を持つことの大事さを説き、「皆さんからは『鉛筆人間』になってもらいたい。中に『芯』があり、周囲に『木(気)』を使う」と締めて会場を沸かせた。
関根氏の司会で行われた鼎談では、山中氏がベンチャー企業の設立に関して「完璧にそろってから始めようとする人がいるが、まずは事業をやってみて。課題が見えてくると、戦略も見えてくるはず」と。一柳氏は一流塾入塾式のエピソードを紹介し、「大事なのは仕掛けづくり。戦略と熱量、そして知恵の3つが必要。人を巻き込む力をぜひ養ってほしい」と語った。