2023年(令和5年) 11月11日(土)付紙面より
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山形の日本酒文化を知ってもらおうと山形大学は「日本酒学」を開講する。県酒造組合とタイアップし今月20日から来年2月上旬にかけて計8講座の動画を発信する。
県内には51の酒蔵があり、各地域の風土や文化を生かした銘酒を育んでいる。2016年には地理的表示GI「山形」の指定を受けた。山形大は本県の日本酒文化に着目。包括協定を結んだ県酒造組合の協力を得て2年前から「日本酒学」の開講に向けて準備を進めてきた。
講師は8人。90分の後期講座で▽県内産日本酒の現況▽こうじ菌・酵母のはたらき▽健康と飲酒▽歴史学から見た日本酒―などについて学ぶ。単位は1単位。山形大の学生のほか、県内にある大学や短大、高等教育機関の連合組織「大学コンソーシアムやまがた」(通称・ゆうキャンパス)の単位互換制度を取る。
山形大農学部で9日、県酒造組合の仲野益美会長は「日本酒は2000年の歴史がある。その国の『国酒』をみると人間性や歴史、文化が分かるといわれる。山形大とコラボ力を発揮したい」、日本酒学を担当する農学部の村山秀樹学部長は「世界に羽ばたく日本酒の製造から流通まで一貫して学んでもらうことが目的。日本酒学を通して山形の魅力を認識する機会につなげたい」と話した。将来的には「ワイン学」の開講も目指す。講座の動画は山大農学部のチャンネルにアップする。
日本酒学の講師陣は次の通り。
▽小関敏彦(県酒造組合特別顧問・県産酒スーパーアドバイザー)▽中場勝(前県水田農業研究所所長)▽小関卓也(山形大学農学部)▽石垣浩佳(山形工業技術センター)▽和田茂樹(和田酒造合資会社)▽蓬田伸一(県保健医療大学)▽赤沼明男(東北芸術工科大学)▽荒木志伸(山形大学学士課程基盤教育機構)
2023年(令和5年) 11月11日(土)付紙面より
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鶴岡市の県立庄内農業高校(坂井孝朗校長、生徒131人)に「巨大絵」が登場した。毎年「庄農祭」に合わせて全校生徒が制作している伝統行事。体育館に飾り庄農祭最終日の11日に一般公開する。
今年のテーマは「豊作を意味する龍と農作業の安全を願う虎」で、大きさは縦7・65メートル、横12メートル。赤、青、黄、金、銀といった折り紙を正方形に切り3万6702枚を貼って表現した。
「庄農祭」初日の10日は全校生徒と教職員、地域の人たちが参加し色紙の貼り付け作業を行った。正午に体育館に吊り下げて完成。巨大絵の下に全員が集まり記念撮影した。
巨大絵実行委員長の吉田愛美さん(食料生産科3年)は「今年は9月から準備を進めてきた。全校生徒の総意が伝わる作品を多くの人に見てほしい」と笑顔で話した。
11日の一般公開は午前10時から午後1時まで。校内では生徒が育てた米や野菜、果物、花といった農産物の即売が行われる。大人気の「庄農うどん」も午前9時半から整理券を配布し数量限定で販売する。
2023年(令和5年) 11月11日(土)付紙面より
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仙台国税局は10日、2023年東北清酒鑑評会の成績を発表した。東北6県の148製造場から吟醸・純米両部門に計277点が出品され、本県は15製造場の22点が優等賞を獲得。庄内関係では吟醸酒の部で8蔵元、純米酒の部で3蔵元が受賞した。両部門それぞれ、優等賞の中でトップ3が最優秀賞(1点)と評価員特別賞(2点)に選ばれ、吟醸酒の部で酒田酒造(酒田市)が醸した「上喜元」が評価員特別賞を受けた。
本県からは今回、吟醸酒の部に32製造場38点、純米酒の部に26製造場28点が出品され、10月上旬に仙台市の仙台国税局で審査が行われた。県別の出品数は福島が36製造場69点で最も多く、次いで本県が35製造場66点と多かった。両部門を合わせた本県の優等賞獲得数は福島に次いで東北2番目。 清酒鑑評会は、清酒の製造技術と品質の向上を目的に同国税局が1962(昭和37)年から毎年実施している。昨年12月から今年2月ぐらいまでに醸造され、半年ほど貯蔵・熟成させた清酒を対象に品質評価を行い、優秀な成績を挙げた蔵元を顕彰している。
庄内関係で優等賞を獲得した製造場と代表銘柄は次の通り。
◇吟醸酒の部▽亀の井酒造(鶴岡市、くどき上手)▽竹の露(同、白露垂珠)▽冨士酒造(同、栄光冨士)▽菊勇(酒田市、三十六人衆・飛天)▽酒田酒造(同、上喜元)▽麓井酒造(同、麓井)▽松山酒造(同、松嶺の富士)▽杉勇蕨岡酒造場(遊佐町、杉勇)
◇純米酒の部▽冨士酒造(鶴岡市、紅葉に鹿)▽酒田酒造(酒田市、上喜元)▽杉勇蕨岡酒造場(遊佐町、杉勇)
評価員特別賞 酒田酒造が受賞
今回の鑑評会で県内で唯一、評価員特別賞(吟醸酒部門)を受賞した酒田酒造(酒田市日吉町二丁目、佐藤正一社長)への賞状伝達式が同社内で行われ、仙台国税局の船木英人課税第二部長が佐藤社長に、和文・英文で書かれた清水雄策局長名の賞状を手渡し、「日頃から清酒醸造技術の向上に努め心から敬意を表する。酒造業界の健全な発展のため、今後も力添えを頂きたい」と清水局長の祝辞を代読した。
これを受けて佐藤社長は「『上喜元』は上質な喜びを得る元になってほしいという願いを込めて名付けられたもの。飲んで楽しみ、心豊かになってもらえたらという思いで常に製造している。東北の鑑評会は全国よりも狭き門で大変うれしい」と。そして「先日酒田港に寄港した外航クルーズ船の乗客から飲んでもらい、良い評価を頂いた。酒田は全国で唯一、酒という字が付く市。酒田の酒を全国、世界に向けて発信していきたい」と続けた。
2023年(令和5年) 11月11日(土)付紙面より
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「119番の日」の9日、鶴岡市消防本部(岡部信宏消防長)の「外国人による119番通報等多言語通訳サービス訓練」が鶴岡市伊勢原町の出羽庄内国際村で行われた。日本語で会話ができない外国人からの通報を想定し、消防署員たちがタブレットの多言語翻訳アプリを駆使しながら、適切かつ迅速な対応ができるよう訓練に臨んだ。
訓練は「119番通報・受信対応」と「救急現場での傷病者対応」の2つが行われ、同国際村の国際交流専門員で中国国籍を持つ楊詠麗(やんよんり)さん(64)が通報者役として参加した。
119番通報・受信対応訓練は、楊さんが「中国語のみ話せる旅行者」となって行われた。消防本部の通信指令室に楊さんが中国語で「事故が起きている」と通報。指令室の署員が英語で話せるか確認し、東京都内の民間電話通訳センターへ連絡。三者が話し合いながら事故状況やけが人の有無などを確認。続いて傷病者対応訓練が行われ、同様に楊さんが「目まいがして動けなくなった」と119番通報。通訳センターを仲介して現場を確認し、救急隊員が現場に駆け付けた。隊員はタブレットの多言語翻訳アプリを使って、楊さんに「目の前がぐるぐる回るような目まいですか」「座っていても目まいがしますか」など病状を確認した。
訓練後、楊さんは「アプリを使う場合、単語を用いた会話の方がスムーズにいきそうだ」などと意見を述べていた。消防本部はこうした意見をフィードバックし、実際の対応に反映させるという。また、同本部は「コロナ禍が明け、今後は外国人観光客が増加する可能性もある。多言語翻訳アプリの有効性や、日本での救急・消防ダイヤルは119番ということを伝えていきたい」と話していた。