2023年(令和5年) 11月11日(土)付紙面より
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「119番の日」の9日、鶴岡市消防本部(岡部信宏消防長)の「外国人による119番通報等多言語通訳サービス訓練」が鶴岡市伊勢原町の出羽庄内国際村で行われた。日本語で会話ができない外国人からの通報を想定し、消防署員たちがタブレットの多言語翻訳アプリを駆使しながら、適切かつ迅速な対応ができるよう訓練に臨んだ。
訓練は「119番通報・受信対応」と「救急現場での傷病者対応」の2つが行われ、同国際村の国際交流専門員で中国国籍を持つ楊詠麗(やんよんり)さん(64)が通報者役として参加した。
119番通報・受信対応訓練は、楊さんが「中国語のみ話せる旅行者」となって行われた。消防本部の通信指令室に楊さんが中国語で「事故が起きている」と通報。指令室の署員が英語で話せるか確認し、東京都内の民間電話通訳センターへ連絡。三者が話し合いながら事故状況やけが人の有無などを確認。続いて傷病者対応訓練が行われ、同様に楊さんが「目まいがして動けなくなった」と119番通報。通訳センターを仲介して現場を確認し、救急隊員が現場に駆け付けた。隊員はタブレットの多言語翻訳アプリを使って、楊さんに「目の前がぐるぐる回るような目まいですか」「座っていても目まいがしますか」など病状を確認した。
訓練後、楊さんは「アプリを使う場合、単語を用いた会話の方がスムーズにいきそうだ」などと意見を述べていた。消防本部はこうした意見をフィードバックし、実際の対応に反映させるという。また、同本部は「コロナ禍が明け、今後は外国人観光客が増加する可能性もある。多言語翻訳アプリの有効性や、日本での救急・消防ダイヤルは119番ということを伝えていきたい」と話していた。