2023年(令和5年) 11月12日(日)付紙面より
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東北地方環境事務所は10日、鶴岡市の八森山風力発電所付近で6月に見つかった絶滅危惧種のクマタカの死骸について、風車との衝突を起因に死んだ可能性が高いとの見解を公表した。事業者に調査結果を伝え、改善措置を求めた。
クマタカの死骸は風車5基(2021年11月稼働)のうち南側にある5号機付近で6月24日に見つかり、7月下旬に同事務所が引き取って調査した。獣医師らによる解剖やX線、CT検査などで、衝突などの強い外力で頸椎が脱臼して飛べなくなり、衰弱死したとみられるという。
死骸が風車の直下で見つかったこと、周辺に飛行中に衝突するような高い施設が他にないことから、同事務所は「風車と衝突したことに起因して死亡した蓋然性(がいぜんせい)が高い」と判断。同事務所は9日に事業者のジャパン・リニューアブル・エナジー(東京)に対し、「専門家に助言を求め、必要とされた保全措置の実施」を求めた。クマタカは「種の保存法」に基づく希少種として環境省レッドリストに記載されており、同省などによる調査では、国内生息数1800羽程度という。