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2023年(令和5年) 11月18日(土)付紙面より

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一日一題 迷走する政権運営に感じること

 政治の世界は「一寸先は闇」と言われる。岸田文雄首相が年内の衆院解散・総選挙を見送り、もう少しの間“闇の中”にいなければならないということになる。春からの解散風が収まったのは、「経済対策など喫緊の政策課題を解決する」という岸田氏の決断による。それにしても岸田首相の政権運営が迷走し、内閣支持率も下がっている。

 年明けの通常国会召集冒頭、3月下旬の予算成立後、9月の総裁選前などと、解散時期の憶測が流れている。衆院議員の任期は2025年10月まで。内外に大きな課題を抱えている時だけに、任期ぎりぎりまで職責を果たすべきだという声もある。解散の大義は何か、国民に何を問う選挙になるのだろうか。

 物価高騰が収まらず、政府はガソリン代を補填(ほてん)する救済策に続いて、新たに課税世帯で1人4万円の減税、非課税世帯に7万円の給付を打ち出した。しかし給付は即効性があるものの、減税は来年になる。ただ「税収増分を還元する」という岸田氏の言葉と異なり、鈴木俊一財務大臣は「税収増は政策的経費や国債償還に既に充てられている」と語り、減税などの経済対策のため新たな借金に頼らねばならないあたりも、政権の評価不足になっている。

 岸田氏率いる保守本流の宏池会は自民党内で所属議員が少なく派閥の基盤が弱い。人事では大所帯の派閥に気を遣わなければならない。そうした背景も不祥事を起こした政務三役3人の処分遅れにつながったとされる。閣僚任命時の“身体検査”が不十分だったことにもなる。

 「任命責任は私にある」と、閣僚らの不祥事のたびに歴代首相が繰り返してきた。一方、政治家そのものの資質低下が不祥事を生んでいるのではないか。衆院の小選挙区制後、政治家は「家業化」してしまったと指摘する声がある。中選挙区時は同じ選挙区で同じ政党の候補者が競い合うことで互いに研さんし、資質は高まった。「適材適所」として任命した岸田氏の責任もあるが、議員側にも責任があると言える。

 国民は収束の兆しが見えない物価高への不満がある。しかし物価高は海外情勢の影響も大きい。円安は岸田氏が首相になる前から尾を引いている問題だ。岸田氏の指導力が問われるが、政権運営と政策は首相単独で進めるものでなく、内閣が一致して盛り立てるものだ。政権内部から足を引っ張っては政策を遂行できない。それも内閣支持率の低下につながっている。

 減税と給付で景気を刺激することで、物価高を助長するとの指摘もある。大企業の増収が見込まれても、賃上げなどの恩恵を受けられない層も出てくるのではないかとの見方もある。誰が首相になっても、一気に起死回生策は生み出せない現状にある。岸田氏が打ち出した政策を見極めなければならない。

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