文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2023年(令和5年) 11月25日(土)付紙面より

ツイート

急がれる公益大の公立化実現

 地方の私立大学が地元自治体運営の公立大学になるケースが増えている。人づくりは国の礎。それは大都市圏の大学だけでなく、特色ある地方の大学が果たす役割は大きい。公設民営で誕生した東北公益文科大学も、私立から公立化し教育内容も強化する方向が探られている。地元の期待は大きく、主導する県にはスピード感を持って臨んでもらいたい。

 全国で初めて「公益学」を学ぶ大学として開学して22年。学問分野の一つとしての「公益学」を学び、今春までの卒業生は約3000人に達した。庄内をはじめ県内の人材育成の役割は確実に果たしている。「公益学」の特色をより発信するためにも公立化による経営の安定が求められる。

◇      ◇

 公益大の公立化は、庄内開発協議会が庄内地方重要事業要望の一つに掲げている。吉村美栄子知事は「高いレベルでの議論と専門家の意見を聞きながら公立化と機能強化を含めた方向性をまとめる」との考えを示している。庄内には山形大学農学部が鶴岡市にある以外は、県内陸部のような公立大学がない。新庄市には来春、県立東北農林専門職大学が開学する。高等教育機関が偏在していると言えるのではないか。

 大学は「個性」を持った教育機関だ。鶴岡高専校長から新潟県の長岡技術科学大学学長事務取扱として開学(1975年)に参画した元善寳寺住職の斉藤信義氏は著書『〈慈悲の坐禅〉を生きる』で、次のように述べている。「『科学技術大学』ではなく『技術科学大学』としたのは、これまでとは違った『工学理念』を目指すためだった」と。学生が社会に出る前に就業体験や就労体験をする「インターンシップ」も初めて導入した。後に公益大もこれに倣っている。

 公益大は昨春まで6年連続で定員(235人)を確保したが、今春は定員を割った。日本私立学校振興・共済事業団が今夏に公表した今年度入学志願動向によると、私立大学600校のうち定員割れの大学は前年比37校増の320校、大学全体に占める未充足校の割合は53・3%で、1989年度の調査開始以来、初めて5割を超えた。18歳人口が前年度比で約2・4万人減少という減少期にあるが、定員割れは規模が小さく、地方にある大学で目立っている。

◇      ◇

 庄内地域の5市町や経済界などは数年前から県に公立化を強く要望してきた。県は本年度、「高等教育政策・学事文書課」を新設し、当初予算に公立化・機能強化に関する調査費など初めて計上した。6月議会では増額補正もしたが、吉村知事は「志願者数や地元就職率、将来的な自治体運営への影響を見極めたい」と慎重な姿勢も見せている。間もなく12月定例県議会が始まる。庄内選出の県議には、本会議や委員会審議で要望的な質疑でとどまることなく、知事から公立化の本気度の答弁を引き出す決意で臨んでもらいたい。

画像(JPEG)



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field