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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 11月8日(水)付紙面より

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新たな林業資源 可能性探る試み 「ユリノキ」生育状態モニター 庄内森林管理署 早生樹30年かけて 県内の国有林で初めて

 林野庁東北森林管理局庄内森林管理署(山之内弘幸署長、鶴岡市末広町)は、スギより成長が早いとされる早生広葉樹「ユリノキ」の生育状態をモニターする。山形県内の国有林では初めて。下刈りの回数を減らすなどして「低コスト林業」の効果を確かめるのが目的だ。鶴岡市羽黒町川代の国有林にユリノキの苗木を植え成長度合いの観測を続ける。30年間かけて山形の山あいでユリノキが早生樹として適合するかどうか「新しい林業」の可能性を探る。

 落葉広葉樹のユリノキは北米が原産地。高さは20―30メートルになる。成長が早く樹形が良いことから各地で街路樹や公園に植栽されている。スギは高さ30メートルになるまで約60年とされるが、ユリノキは約30年。国内では新たな林業資源として着目され、いくつかの県で早生樹として生育状態を調べる試みが進められている。

 庄内森林管理署がデータを取る試験地の広さは約0・5ヘクタール。北と南に8つのエリアをつくってユリノキ375本を植え、1年ごとに高さや根元の幹回りを測定する。雑草の下刈りをした回数によって成長に違いが出るかも見定める。

 このほど月山高原牧場近くの現地で行われた検討会には県庄内総合支庁森林整備課や県森林研究研修センター、出羽庄内森林組合、朝日庄内森林生態系保全センター、民間事業者など関係者約30人が参加した。ユリノキ全般について説明を受けた後、植栽したばかりの苗木の状態を確認した。

 今後は、雪解け後にユリノキが積雪の影響を受けるか確かめるほか、夏場を中心に下刈りを行う。生育データは毎年秋に取る。庄内森林管理署の山之内署長は「ユリノキは北米で家具材や内装材などに使われているが、国内ではまだ利用が少ないのが現状。下刈りを2回と3回した違いなどを調べて抵コスト化を目指すほかに、この地でユリノキがどのように育ち早生樹として優れた特性を示すのか確かめたい」と話している。

羽黒町川代の試験地にユリノキの苗木(2年木・高さ約1メートル)を植栽
羽黒町川代の試験地にユリノキの苗木(2年木・高さ約1メートル)を植栽

ユリノキの苗木の葉。林業の新たな可能性を探る
ユリノキの苗木の葉。林業の新たな可能性を探る


2023年(令和5年) 11月8日(水)付紙面より

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公立高前期(特色)と後期(一般)受験機会 県への最終報告案 検討委方向性示す 推薦廃止県外受け入れ緩和

 有識者などでつくる公立高等学校入学者選抜方法改善検討委員会の4回目の会合が6日、山形市内で開かれ、最終報告案の方向性がまとまった。今の中学1年生が受験する2026年度から、専門学科などで行われている推薦入試を廃止し、全ての公立高で前期(特色)選抜と後期(一般)選抜の2回の受験機会を設ける。

 推薦入試は現在、専門学科と総合学科で実施しており、両学科の志願者は3月7日の一般入試と合わせて2度の受験機会がある。一方、最も志願者の多い普通科は一般入試のみで、受験機会の複数化を求める声が上がっていた。県高校教育課によると、現在34都道府県が普通科の受験機会を2回設けている。

 前期(特色)選抜は、各校の特色やアドミッションポリシー(入学者の受け入れに関する方針)に沿って行われ、学校側が▽個人面接▽集団面接▽作文▽発表▽その他(小論文、実技、学校ごとの学力検査など)―から一~三つ選択する。時期はA日程(大学入学共通テスト後すぐの火曜日)とB日程(2月初め)から学校側が選択する。募集人員は定員の5%以上50%以内(音楽科は60%程度、体育科80%程度)とし、各校が学科ごと設定する。後期(一般)選抜は、現行の一般入試と同様に3月7日に学力検査を実施する。

 また、入学者数の充足率も課題に挙げられていたことから、県外志願者の受け入れについて、「直近2年における入学定員に対する合格者数の割合が連続して9割に満たない学校」に要件を緩和することなどを決めた。今後、報告書を12月に県教育長へ提出し、県教育委員会が来年1月に改善方針を策定する。


2023年(令和5年) 11月8日(水)付紙面より

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ブルーインフラ実験が本格化

 森林が二酸化炭素(CO2)を吸収する「グリーンカーボン」に対し、海藻が吸収するのは「ブルーカーボン」。CO2を吸収した海藻は死滅した後も海底に蓄積され、CO2を持続的に貯留することで温暖化対策の効果がある。酒田北港で、国土交通省酒田港湾事務所による「ブルーインフラ実証実験」の取り組みが、5企業・団体が参加して始まった。

 国連の気候変動に関する政府間パネル(IPCC)などは、今世紀末の気温上昇を産業革命前と比べて1・5度に抑えるには温室効果ガス削減は不可欠とし、今の状態で温室効果ガス排出が続けば、6年後には目標達成が困難になると分析している。化石燃料の使用を減らしながらCO2を削減するためにも、ブルーカーボンの効果に期待が寄せられている。

     ◇       ◇

 「ブルーインフラ」は、「藻場・干潟など生物共生型港湾構造物」との意味。酒田北港ではこれまで石炭灰を原料とした基盤材(ブロック)を海中に敷設、海藻を付着させてCO2削減と併せて魚礁効果も探ってきた。今度、東日本大震災で発生した震災がれきなどの活用も目指す産学官連携組織の「資源循環コンソーシアム」(宮城県)なども実験に参加、参加団体の特徴ある成果が待たれる。

 海藻によるブルーカーボンについては、政府も2050年までの、脱炭素によるCO2排出実質ゼロに向けた役割を担うと位置付け、ブルーインフラ整備の全国の海への拡大を目指している。また「命を育むみなとのブルーインフラ拡大プロジェクト」の力になるのは官だけでなく民間団体や企業の参加による協力も欠かせない。

 酒田港湾事務所は15年から海藻を育てる実験を始め、現在は官民挙げた「酒田港脱炭素化推進協議会」が環境改善に取り組んでいる。日本の沿岸は海水温上昇などの影響で、海藻の生息域が減少している。庄内沿岸でも磯焼けで岩場の海藻類が減り、貝類の成長への影響が心配されている。森林生態系保護と同様、海洋生態系も藻場造成で保全し、併せて漁業資源を増やすことに生かさなければならない。

     ◇       ◇

 酒田北港での5企業・団体による実験では、ブロックの表面に凹凸を作って藻が着床しやすい形状にしたものや、製造過程で出る鉄鋼素材など、数種類のブロック21基を水深約3メートルの海中に沈め、付着を促す。

 酒田北港でのブルーインフラ実証実験にはCO2吸収と併せ、藻の付着によって小魚が育つ漁礁の役目も期待でき、沿岸漁業にとっても朗報になるのではないか。これまでの実験で沈めた消波ブロックにアカモクが群生し、ハタハタの産卵などが確認されているだけに、期待感は大きい。今行われている実験でも、環境改善だけでなく漁業資源を増やすことにつながるとなれば、ぜひとも良い結果が得られることを待ちたい。

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2023年(令和5年) 11月8日(水)付紙面より

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ジャパンソフトバレーボール鶴岡フェスティバル プラチナクラス 藤島チーム優勝 全国37チーム243人が熱戦

 中高年世代の選手を対象にした「ジャパンソフトバレーボール鶴岡フェスティバル」(鶴岡市、市教育委員会主催)が4、5の両日、鶴岡市小真木原総合体育館で行われた。全国から計37チーム、選手総勢243人が出場。熱戦を繰り広げた結果、プラチナクラスで地元・藤島チームが優勝した。

 スローガンは「笑顔でつくろう健康ウェーブ、輝け日本の中高年!」。初日の4日に開会式を行った後▽シルバークラス(40歳以上と50歳以上の男女それぞれ1選手ずつが常時プレー)▽ゴールドクラス(50歳以上と60歳以上の男女が各1選手ずつ常時プレー)▽プラチナクラス(60歳以上の男女2選手が常時プレー)の3クラスでリーグ戦を繰り広げた。地元鶴岡からはシルバークラスに第一学区、第三学区・湯田川、第四学区、第六学区、プラチナクラスに第六学区・大泉、田川、藤島の各チームが出場した。

 選手は息の合ったチームワークを発揮。年齢を感じさせないハッスルプレーを見せた。5日に決勝トーナメントがあり、上位入賞チームが決まった。各クラスの結果は次の通り。

【プラチナクラス】
 ▽第1・2位トーナメント=1藤島(中田進、栗本誠、山口健一、五十嵐生子、押井千秋、渕田謙一)2仙商クラブ(宮城)3colorsC(栃木)▽第3・4位トーナメント=1フリーダム(埼玉)▽第5・6位トーナメント=1独頑竜政宗(宮城)

【シルバークラス】
 ▽第1・2位トーナメント=1colorsA(栃木)2TEAM LS(宮城)3S・P・Mollys(同)▽第3・4位トーナメント=1Out SideS(岩手)▽第5・6位トーナメント=1かまくらS(秋田)

【ゴールドクラス】
 ▽決勝トーナメント=1KISSハート(新潟)2ColorsB(栃木)3Out SideG(岩手)

熱戦を繰り広げたジャパンソフトバレー鶴岡フェスティバル
熱戦を繰り広げたジャパンソフトバレー鶴岡フェスティバル


2023年(令和5年) 11月8日(水)付紙面より

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朝日地域の理想像を描く 中学生と住民ら世代超え意見交わす 公益大大学院「地域語り合い」

 鶴岡市朝日地域の中学生と住民などが世代を超えて語り合い、地域で安心、安全に暮らし続けるために何が必要か意見を交わし合う「地域語り合い」が6日、朝日中学校(秋山尚志校長、生徒79人)で行われた。グループワークで朝日地域の理想像を書き出す中、多くの中学生が「もっと多くの店があると良い」「自然は残したままが良い」といった考えを示した。

 地域語り合いは、東北公益文科大大学院の科目「プロジェクトa」(パートナーシップに基づく地域課題解決の推進)の一環として実施した。同科目は行政や企業、住民組織などと連携し、地域課題解決のためプラットフォーム構築やプログラム、マネジメントなどを実践する。本年度は院生6人が10月上旬から朝日地域でフィールドワークやグループワークを展開している。

 この日は朝日中の全校生徒と教員、院生や公開講座の修了者、市朝日庁舎や朝日中央コミュニティセンターの職員、保護者など約130人が参加。参加者を20グループに分け、院生や修了者がファシリテーター(進行役)を務めた。

 初めにプロジェクト担当で同大学院公益学研究科長の武田真理子教授が、地域語り合いの趣旨について「人口減少社会においても安心で安全な地域づくりに取り組むことが重要。中学生は朝日地域にとって非常に重要な住民であり、世代を超えた対話で地域の良さを発掘し、課題解決の方法を探ろう」と説明した。

 メインのグループワークは「朝日の良いところ」「将来、こうだったら良いな朝日」「朝日とわたし」の3テーマで行われた。中学生3、4人と進行役、地域住民が一つのグループとなり、手作りの円卓を囲んで「食べ物がおいしい」「季節感がある」「地域の人たちがみんな仲良し」など朝日地域の良いところを書き出した。

 朝日の将来像については「交通網がもっと発達したら」「大型ショッピングモールがあると良い」「大きい図書館があると良い」など地域の都会化を望む中学生が多かった。一方で「豊かな自然は残したい」「農家をずっと続けられるような地域であってほしい」というものや「高校が欲しい」「医療機関が近くにあると良い」という意見も見られた。2年の佐藤大知さん(14)は「語り合ううちに朝日には思ったより地域特有のものがたくさんあることに気付いた。便利な都会になるのも良いけど、豊かな自然を残したいという複雑な気持ちになった」と話していた。

中学生と地域住民が世代を超えて語り合い、朝日地域の課題解決の道を探った
中学生と地域住民が世代を超えて語り合い、朝日地域の課題解決の道を探った



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