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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 12月19日(火)付紙面より

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父の魂と一緒 酒田で墓参り 旧ソ連抑留者故阿彦哲郎さんの娘イリーナさん 哲郎さんの半生描いた映画公開前に

 第2次世界大戦後に民間人の身で旧ソ連に抑留され、同国崩壊まで帰国することがかなわなかった本籍・酒田市の故阿彦哲郎さん(1930―2020)の長女、阿彦イリーナさん(57)が15日、カザフスタン共和国から来日し、父・哲郎さんの死亡届の手続きと先祖の墓参りのため同市を訪れた。

 哲郎さんは樺太生まれで、両親が酒田市出身。ソ連侵攻により、母と弟は北海道に引き揚げたが、父と共に樺太に残り、鉄工所で働いていた。終戦後の1948年にスパイ容疑で逮捕され、カザフのジェスガズガンにある強制収容所に送られた。極寒の中の秘密鉱山で強制労働を強いられ、1年で体重が半分近く減少したという。54年に解放されるも、同容疑のため生活が監視され、旧ソ連崩壊までカザフからの出国が許されず、哲郎さんはカザフで出会ったドイツ系女性エカテリーナさんと結婚し現地で家庭を築いた。

 日本を離れてから40年以上経過した94年に初めて一時帰国、酒田市で親戚との対面や両親の墓参りを果たしたという。その際日本国籍も回復し、家族と共に札幌市に一時移住したが、2014年にカザフに戻り、20年6月に89歳で亡くなった。日本側が把握する大戦後の旧ソ連抑留者の中で、解放後現地で存命する最後の1人とされた。

 哲郎さんの長女のイリーナさんは今回、哲郎さんの半生を描いた映画「阿彦哲郎物語 戦争の囚われ人」が日本で公開されるのを前に来日。映画は民間人抑留者の理解を広めようと、カザフスタン政府が日本との国交樹立30周年記念作品として21年に製作したもの。

 この日、イリーナさんは元在カザフ日本大使館職員で同映画の監督を務めた佐野伸寿さん(58)らと共に市役所を訪問。窓口で手続きを行った後、矢口明子酒田市長を表敬しあいさつを交わした。

 イリーナさんは「父はとても優しくて正直な人だった。家族に心配をかけさせないためか、強制労働時代の話は全く話さなかった。映画を見て、多くの人が戦争について考えるきっかけになれば」と。佐野さんは「哲郎さんはカザフでは友好のシンボルとして知られているが、日本ではほとんど知られていない。映画を通して、歴史に翻弄(ほんろう)され、忘れられた日本人がいたことを伝えたい」と話した。矢口市長は「日本とカザフをつないでいただいて本当にありがたい。ぜひ再び来日し、市民と交流してほしい」と感謝を述べた。

 酒田にいる親戚と共に、同市西荒瀬地区にある墓地で墓参りを行ったイリーナさんは「父は生前、両親の墓参りをずっと願っていた。私はカザフから父の魂と一緒に来たので、かなえることができたと思う」とほっとした様子で話していた。

 哲郎さんの半生を描いた映画は、22日から東京のアップリンク吉祥寺のほか、全国で順次公開される。

阿彦さんの両親の墓参りをするイリーナさん(左)
阿彦さんの両親の墓参りをするイリーナさん(左)

生前の阿彦哲郎さん(左)とイリーナさん=カザフスタンの自宅にて
生前の阿彦哲郎さん(左)とイリーナさん=カザフスタンの自宅にて


2023年(令和5年) 12月19日(火)付紙面より

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「商売繁盛」「合格」願う 鶴岡 七日町観音堂だるま祭り

 鶴岡市本町二丁目の七日町観音堂で17日、師走恒例の「だるま祭り」が開かれた。午前中から多くの市民が訪れ、「商売繁盛」や「合格」を願ってだるまを買い求める姿が見られた。

 12月17日の七日町観音堂の例祭に合わせて毎年開かれてきた「だるま市」は「観音様のお歳夜」と呼ばれ市民に親しまれており、昨年から「だるま祭り」の名称に変更した。昔、観音堂近くにあった遊郭の遊女が日々のつらさをだるまに託し、川に流した言い伝えを元に、いつの頃からか庶民の間で年末の風物詩として「だるま市」が定着したという。

 この日は前日から続く暴風に雪が交じるあいにくの天候となったが、午前中から大勢の家族連れが観音堂に足を運び、本堂で手を合わせた。その後、境内に並んだ出店を巡り、だるまや熊手、羽子板、招き猫などの縁起物、食べると厄が払われるとされる鶴岡名物の縁起菓子「切山椒」などを買い求めていた。

 3000円のだるまを購入したという市内の50代夫婦は「だるまを買うと毎年良いことが起こる。荒れた天気になったが今年も欠かさずお参りした」と話していた。また、コロナ禍で自粛していた「歳の市」が七日町商店街で4年ぶりに開催され、正月用品やおしるこ、天ぷらうどんなどの出店や餅つき実演などが家族連れの人気を呼んでいた。

師走恒例の「だるま祭り」が開かれ、家族連れなどが縁起物のだるまを買い求めた=17日午前
師走恒例の「だるま祭り」が開かれ、家族連れなどが縁起物のだるまを買い求めた=17日午前


2023年(令和5年) 12月19日(火)付紙面より

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ヒシの活用考える 実食や堆肥化紹介 ほとりあで全国サミット

 池や沼に自生する一年生の水草「ヒシ」にスポットを当て、他県の先進事例を踏まえて活用方法を探る「全国ヒシサミット2023in鶴岡」が17日、鶴岡市馬町の市自然学習交流館ほとりあで開かれた。ラムサール条約湿地に登録されている同市大山地区の下池にも多く自生するヒシについて、これまでの活用方法や今後の課題について意見を交わした。

 大山地区の上池・下池のラムサール条約登録湿地15周年の記念事業の一環として庄内自然博物園推進協議会(櫻井修治会長)が企画、開催した。今回は市民など50人余りが出席。初めに同協議会の平智副会長が「ヒシに関しては全国を見渡してもそれほど研究が進んでいない。今回は地元庄内に福島、九州の佐賀県の研究者が集まり、全国サミットと言える。最後までぜひご清聴を」とあいさつした。

 皆川治鶴岡市長のあいさつの後、ほとりあの上山剛司副館長、西九州大の安田みどり教授、いなびし(福島県猪苗代町)の長友海夢社長、大山地区で活動する草木染サークル・そめりあが、話題提供としてヒシを活用したそれぞれの事例を発表した。

 このうち上山副館長は「大山下池産のヒシの活用事業」と題し、「2014年に下池の水門でヒシの実が堆積し、一部が水路に流れ出した。下池では近年、6~9月に水面の8割ほどをヒシが埋めており除去が必要となった」と述べた。

 また、2015年以降にほとりあが進めている草木染めや地元小学校の総合学習での実食、クラフトイベントなどヒシ活用の取り組みを紹介。22年度以降は佐賀県や北海道など先進地の視察、ほとりあスタッフや学生たちでヒシの除去に当たったことなどを解説した。今後の展開については「除去したヒシの堆肥化と成分分析を進めており、肥料として優れていればホームセンターなどと連携し、さらに堆肥を使って育てた作物を地元飲食店等で利用できるような資源の活用方法を検討したい」と話した。

 続いて発表した安田教授は佐賀県神埼市で取り組んでいるワビシの栽培について解説。「高齢者が以前ヒシの皮を煎じて飲んだ話からヒシの外皮に注目し、ヒシポリフェノールの分取と精製、構造分析などを行った。その結果、ヒシには血糖値を下げたり中性脂肪を抑える効果があることが分かった。外皮を用いた『ひしぼうろ』はヒット商品となった」と述べた。

 【ヒシ】葉が水面に浮く浮葉植物で、全国各地の池や沼で見られる。多くの実をつけ保存も利き、昔は食材や薬に使われた。現在はそうした利用がなくなり、夏場に水面を覆う大量のヒシが秋に枯れて腐敗し水質に影響を及ぼすなど、“厄介者”扱いされることも多いという。

 ヒシの一種・オニビシは非常に硬いとげができるため、かつて忍者が使った「まきびし」の材料に使われていた。

「ヒシ」の活用方法を探るサミットが開かれ、全国各地のさまざまな事例が報告された
「ヒシ」の活用方法を探るサミットが開かれ、全国各地のさまざまな事例が報告された


2023年(令和5年) 12月19日(火)付紙面より

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鮭伝え守ろう 遊佐町でシンポジウム 県内外80人集う

 「遊佐町鮭シンポジウム」が15日、同町吹浦の鳥海温泉「遊楽里」で開かれた。よろず水産相談室代表で農林水産省顧問の宮原正典さんが「サカナの世界を豊かに」と題して講演。県内外の関係者約80人が熱心に聴き入った。

 同町の月光川水系には秋から初冬にかけ、サケが産卵のために数多く溯上(そじょう)してくる。シンポジウムは、サケのふ化事業者らで組織する遊佐町めじか地域振興協議会(会長・尾形修一郎枡川鮭漁業生産組合長)が、「伝え、守ろう遊佐の鮭『きっと今年もふるさとへ帰ってきてくれる』」をテーマに一昨年から開催している。

 尾形組合長はあいさつで、今季のサケの溯上数が前半は例年の約2割にとどまったが、後半は半分ほどまで回復したと説明。「こうした後期群のサケは、地球温暖化の影響を受けにくい非常に貴重な資源。県の枠を超えて連携し、共に英知を出し合い頑張ろう」と呼び掛けた。

 2020年まで水産研究教育機構の理事長を務めた宮原さんは多方面で活躍。この日は、「サケマスのふ化・放流事業が生き残るには他の地域産業との連携が不可欠」「遊佐沖などで計画が進む洋上風力発電との協調関係を築き、エネルギーの地産地消を考えよう」などと具体的な数字、事例を挙げてアドバイスした。

県内外のサケふ化・放流事業者らが参加して開かれた遊佐町鮭シンポジウム
県内外のサケふ化・放流事業者らが参加して開かれた遊佐町鮭シンポジウム


2023年(令和5年) 12月19日(火)付紙面より

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工夫凝らし銀盤で披露 フィギュアスケート愛好者発表会 人気ゲームやアニメ ミュージカルも再現 酒田

 フィギュアスケート愛好者の発表会が17日、酒田市入船町の屋内スケート場・スワンスケートリンクで開かれ、地元のスケーターらが銀盤上で華やかな演技を披露した。

 フィギュアスケートの持つ魅力や楽しさを感じてもらおうと愛好者らが実行委員会(高橋香織代表)を組織して毎年開催している。今年で4回目。

 この日は園児から60代までのスケーターら19人が出演。人気ゲームシリーズ「スーパーマリオ」を題材にしたものや、テレビアニメ「SPY×FAMILY」のキャラクターに扮(ふん)したもの、ミュージカル映画「雨に唄えば」のシーンを再現したものなど衣装や小道具に工夫を凝らした16演目が披露された。出演者は音楽に乗ってスピード感あふれる滑走やジャンプ、ステップを次々に決め、会場に詰め掛けたスケートファンから大きな拍手が送られていた。

工夫を凝らした演目で会場を楽しませた
工夫を凝らした演目で会場を楽しませた



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