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荘内日報ニュース


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2023年(令和5年) 12月31日(日)付紙面より

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鶴岡 西目土砂災害発生から1年 「まだ落ち着かない」「やっともとの生活に」 避難世帯自宅で年越し 31日献花

 昨年の大みそかに鶴岡市西目で発生した土砂災害から今月31日で1年が経過。現場は復旧工事が続いているものの、今月22日に県道、市道の通行止めが解除された。土砂崩れが発生した山はやや低くなり、麓に押し流された住宅のがれきなどは土砂とともに撤去された。災害の状況や県による対策工事の進捗(しんちょく)、住民の思いなどを振り返る。

 土砂災害が発生したのは2022年12月31日未明。午前1時頃、通行人の110番通報で事態が明らかになった。山の斜面から幅約100メートル、高さ約20―30メートルにわたり大量の土砂や樹木が崩れ、住民が暮らす民家2棟を含む17棟の建物が倒壊した。

 同3時半頃に70代男性と60代女性が救出された一方、80代男性と70代女性の夫婦の安否が分からず、県や鶴岡市、陸上自衛隊などが昼夜を通して懸命に捜索を続けたが1月2日の早朝、現場から2人の遺体が発見された。

 県と鶴岡市は1月5日に専門家による緊急調査を実施。元日本地すべり学会会長の八木浩司山形大学名誉教授が現地を訪れ、目視調査を行った。八木教授は斜面の風化を指摘するとともに「降雪が雨で解け、地下に染み込んで水圧が高まったことが災害の原因となった可能性がある」と述べた。

 一方、ボーリング調査や安全対策などに時間を要するため、避難指示が出された4世帯13人の避難は長期化が避けられない見通しとなった。避難世帯は災害直後、ホテル暮らしなどをしていたが、後に市が市営住宅を提供。避難者からは「先が見えないのが一番不安。早く自宅に戻りたい」という声が多く上がった。

 緊急対策工事を経て9月から復旧工事が本格化。県は地滑り防止対策、鶴岡市が崩れた土砂の撤去と倒壊家屋のがれき処理、ふさがれた市道の復旧に当たった。県と市の工事による土砂の撤去量は約6万8000立方メートル、倒壊家屋などのがれきは約2200トンに及ぶ。

 10月末、避難世帯の上方斜面の掘削工事が完了し、11月下旬には歪み計と地下水位計が設置された。これを受け、避難世帯へ対する避難勧告は11月28日に解除された。市によると、12月28日午後に最後の避難世帯が市営住宅を引き払い、自宅に戻ったという。12月22日には通行止めとなっていた県道、市道の規制が解除された。今後の復旧工事は、市の担当区分は年度内の終了を見込むが、県は年明けから土砂流出防止用のコンクリート枠設置や地下水の排除を進める。降雪による作業中断などがあれば全体の工事完了は新年度以降となりそうだ。

 ある避難者は「戻ってきてさっそく電気トラブルが発生した。まだまだ落ち着かない」と困惑した表情。現場近くに住む男子高校生(18)は「市道が通れるようになり『やっと前のような生活が戻ってきた』と実感した。短いようで長い1年だった。最近は周囲の大人もあまり土砂崩れの話題を出さない」と話した。

 災害からちょうど1年が経つ31日、皆川治鶴岡市長をはじめ村山朋也県庄内総合支庁長、安倍長一金山自治会長などが亡くなった2人へ手向けるため現場で献花する。

復旧工事が進む現場。近くの県道、市道は通行止めが解除された=12月28日
復旧工事が進む現場。近くの県道、市道は通行止めが解除された=12月28日

土砂崩れ発生直後の現場。住宅2棟を含む建物が倒壊した=昨年12月31日
土砂崩れ発生直後の現場。住宅2棟を含む建物が倒壊した=昨年12月31日


2023年(令和5年) 12月31日(日)付紙面より

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辰歳御縁年幸せ願い込め 善寳寺 龍神様へお供え「餅つき」

 鶴岡市下川の善寳寺(水口道雄住職)で29日、年末恒例の餅つきが行われた。読経の声が響く中、僧侶たちが「新年が良い年になるように」と願いを込め、きねを振るった。

 正式には「餅つき諷経(ふぎょう)」と呼ばれ、同寺に祭られる龍神様へお供えする餅をつく行事。一般に29日の餅つきは「九(苦)持ちになる」と避けられるが、同寺では「二(ふ)と九(く)で福に通じる」として毎年この日に行っている。

 この日は僧侶約20人が参列。午後1時の鐘の音を合図に、御守札授与所に設けられた祭壇に向かい般若心経を唱えた。その後、災いをなくす「消災妙吉祥陀羅尼」、歳神をたたえる「南無当年星本命元辰」と唱える声が響く中、水口住職をはじめ僧侶たちが交代で長さ約1メートルのきねを振るい、5升分の餅をついた。丸餅にした後、本堂に供えるという。

 水口住職は「今年一年、無事に過ごせたことへ感謝し、辰歳(たつどし)御縁年の来年は多くの方にお参りいただけるよう心を込めて餅をついた。上り龍は景気が上がり、下り龍は天から龍神様が降りて人々に幸せをもたらす。来年は誰もが健康で幸せになるよう願う」と話していた。

 同寺では31日に除夜の鐘を突く人を受け付ける。先着108人(1打300円)で午後4時に受け付け開始。同10時から鐘を突く。辰歳御縁年となる新年は、元日が午前0時から元朝大祈祷(きとう)。同7時から午後4時まで1時間おきに一般祈祷が行われる。2、3日は午前5時半から朝祈祷、一般祈祷は同8時から午後4時まで1時間おき。4日以降の一般祈祷は午前8時から午後4時まで2時間おき。

 また、辰歳記念企画として4月15日~5月15日と10月20日から11月20日の期間、特別拝観が行われる。正午の祈祷に参列し、奥の院龍王殿で八大竜王像などを拝観する。御縁年抽選が行われ、当選者には記念品が贈られる。拝観料は1人2000円(記念お守り付き)。

 このほか12日に1度の辰の日に特別御朱印を頒布する。龍の姿を刺しゅうした特別御朱印帳は2月から頒布の予定。自由拝観(4月15日~11月10日、午前9時~午後3時半)では王昭君図(レプリカ)の展示や、同寺に伝わる「蛇紋石」めぐりのスタンプラリー、五百羅漢堂内の一般公開などが予定されている。拝観料は1人500円。問い合わせは善寳寺=電0235(33)3303=へ。

水口住職をはじめ僧侶たちが「新年が良い年になるように」と願いを込め、餅をついた
水口住職をはじめ僧侶たちが「新年が良い年になるように」と願いを込め、餅をついた


2023年(令和5年) 12月31日(日)付紙面より

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酒田の「印染」作品と魅力紹介 3代続く老舗・斎藤染工場企画展 山居倉庫華の館

 酒田市で3代続く老舗染め物屋「斎藤染(そめ)工場」(齋藤満代表)の作品や手仕事を紹介する初の企画展「酒田の印染(しるしぞめ)―斎染(さいぞめ)とデザイナーが育む手仕事の温もり」が同市の山居倉庫内・華の館で開かれ、色鮮やかな染め物の数々が訪れた人の目を引いている。

 同工場は1926(大正15)年創業。同市南新町一丁目で長年家紋や屋号を法被やのぼり、のれんなどに染色する「印染」を手掛けてきた。型枠に染料を流し込み、型紙を使って生地に染料を刷り込む「手捺染」という技法を用い、丁寧に生地の裏まで染め抜かれているのが特徴。現在は3代目の齋藤代表(55)と妻の美智子さん(53)の2人で作業している。

 展示はこれまで手掛けてきた地元の消防団やみこし会の法被、神社ののぼり、民俗芸能の衣装といった歴史が感じられる伝統的な作品のほか、齋藤代表が「染め物をより身近に感じてほしい」という思いで2008年から制作している「ピアノ柄手ぬぐい」や「もっと!さかたのかわいいあずま袋」などの庄内にゆかりのあるデザイナーとコラボレーションした作品も合わせ計約40点を紹介している。

 作業工程の映像や染め道具、初代、2代の作業風景写真なども展示されており、来館者たちは色鮮やかな作品一つ一つに見入っていた。

 齋藤代表は「遠くから見ても分かるように大きく鮮明に染められているところが印染の魅力。3代続く歴史と、酒田にあふれている染め物を、改めて再認識してもらえたら」と話していた。

 展示は来月15日(月)まで。元日は休館。展示されている手ぬぐいやあずま袋の一部は購入できる。

斎藤染工場の作品や歴史を紹介する企画展
斎藤染工場の作品や歴史を紹介する企画展


2023年(令和5年) 12月31日(日)付紙面より

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帰省ラッシュピーク 大きな荷物手に古里へ JR鶴岡駅

 正月を地元で過ごす人たちの帰省ラッシュが30日にピークを迎えた。庄内のJR各駅では大きな荷物を手にした人や、出迎えの家族などで混み合った。

 JR東日本などによると30日午前6時8分東京発の「とき301号」から同9時12分東京発の「とき311号」まで新幹線4本の自由席乗車率は90―100%。下りの特急いなほは、同8時22分新潟発の1号から午後5時58分の9号まで指定席が満席となっている。東京発庄内着の全日空機は30日が5便とも満席、31日は3便を除いて座席が残っている。

 この日、JR鶴岡駅では新潟発の特急いなほが到着すると、キャリーバッグや土産物の紙袋を手にした人たちがホームに降り立った。改札口を抜けて家族の出迎えを受けるとほっとしたような表情を見せていた。

 埼玉県から妻と一緒に帰省した成澤史明さん(35)は「コロナ禍の間はあまり帰って来られなかったが、昨年、今年と続けて帰省できた。正月は家族とゆっくり過ごしたい。おいやめいと会うのも楽しみ」と話していた。

 鉄道のUターンラッシュは1月2日に始まり3日にピークとなる見込み。空路は2日から混雑し3日にピーク。5日まで混み合う状況が続く。

大きな荷物を手に、帰省客が次々と改札口を通り抜けた=30日午前、JR鶴岡駅
大きな荷物を手に、帰省客が次々と改札口を通り抜けた=30日午前、JR鶴岡駅



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