2023年(令和5年) 4月27日(木)付紙面より
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東北公益文科大学(酒田市)の第2回地域連携シンポジウムが25日、酒田市の公益大公益ホールで開かれ、「庄内地域における再生可能エネルギー開発の事例研究」をテーマに有識者4人がパネル討議を展開。遊佐沖・酒田沖で議論が進む洋上風力、太陽光、バイオマスなど再エネを活用した地域活性化など考察した。
経済・産業界との連携を深め、これからの地域産業の姿をデザインするとともに、その実現に必要なものを探るため、公益大が今年2月からシリーズで開催している。この日は安川智之酒田市副市長の進行で、石井孝裕資源エネルギー庁風力政策室長、松澤勝志県環境エネルギー部長、辻本和彦サミット酒田パワー代表取締役、半澤彰浩庄内自然エネルギー発電取締役(リモート参加)が意見を交わし、約170人が聴講した。
石井室長は、洋上風力発電導入に関して先進事例を紹介し、「漁業者を中心に心配しているため、漁業影響調査を義務付けている。地域をどう発展させていきたいのか、特に漁業者、自治体関係者と議論を交わし、将来像を取りまとめた上で法律に基づく文章にしている」と。松澤部長は県のカーボンニュートラルの取り組みを解説、「環境省『地域経済循環分析』によると、本県では年間1500億円がエネルギー代金として県外に流出している。流出分を県内で循環させることが課題で、このためには再エネ導入が欠かせない。より多くの事業主体が携わることで雇用、利益を創出したい」と述べた。
バイオマス発電に携わる辻本代表取締役は「天候に左右されないのが特徴。県産間伐材を使用しているが、カーボン排出がゼロではないため、他の再エネとコンビネーションした政策が大切になる」、遊佐町で大規模太陽光発電施設を手掛ける半澤取締役は「事業成果を地域に還元するため基金を設立。庄内地域で持続可能な街づくりに寄与する活動に助成している」とそれぞれ話した。
開会に先立ち上野隆一公益大理事・後援会長は「水や風など地域資源を深く掘り起こし、新たな技術を注ぐことで希望ある未来を展望することが可能。本学が再生可能エネルギー活用議論の先駆者となり、地域づくりの指針を構築できれば、公益学部として本来の役割を果たすと考える」とあいさつした。
2023年(令和5年) 4月27日(木)付紙面より
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庄内に本格的な春の農作業シーズンを告げる鳥海山の雪渓「種まきじいさん」が浮かび上がる中、遊佐町の田んぼで代かき作業が始まった。
同町吉出地区では田起こしをした後、田んぼに水を入れ来月上旬の田植えに備えてトラクターでならす農家の姿が見られた。トラクターの回りにはウミネコが乱舞。掘り起こされた田んぼの生き物をついばんでいた。
庄内の中でも遊佐町は例年、田植えが早く行われる。稲作農家によると今年もゴールデンウイーク期間中の5月5日か6日ごろに最盛期を迎えそうだという。代かきが終わる限られた期間、晴れた日で風が全くない条件がそろう時に、水田の水鏡に残雪の鳥海山が映る「逆さ鳥海」を見ることもできる。
2023年(令和5年) 4月27日(木)付紙面より
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鶴岡市は26日、同市にある慶應義塾大先端生命科学研究所の所長を今年3月まで務めた冨田勝氏(65)=東京都港区=に、名誉市民の称号を贈ることになったと発表した。同日に開かれた市議会臨時会の同意を得て正式に決まった。称号の推戴式は今後決定する。市町村合併前を含め同市の名誉市民は29人目となる。
冨田氏は東京都出身。慶應大工学部数理工学科を卒業後、米国カーネギーメロン大博士課程修了。慶應大環境情報学部教授となり、2001年4月開設の先端研初代所長に就任。同学部の学部長、慶應義塾評議員など歴任した。
先端研所長として生命科学に情報科学など異なる学問領域を融合させた統合システムバイオロジーという新しい分野のパイオニアとして、生体内の代謝物を網羅的に計測するメタボローム解析技術の確立に貢献。文部科学大臣表彰科学技術賞、国際メタボローム学会功労賞、県特別功労賞など数々の賞を受賞した。
先端研で地元の高校生・高専生を研究助手・特別研究生として受け入れる制度を創設するなど次代を担う人材の育成にも大きく貢献し、多くの先端研発ベンチャーの起業も支援するなど地域の活性化に尽力した。
名誉市民の推戴は市条例に基づくもので、先月の有識者らによる選考審査会の答申を踏まえ、皆川治市長が市議会に提案した。推戴は07年の元市芸術文化協会長の山崎誠助氏(故人)、元山形大農学部長の北村昌美氏(故人)以来となる。
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大型連休などの観光シーズンを前に、「最上川舟下り」の安全運航祈願祭が25日、戸沢村の戸沢藩船番所で開かれ、地元や庄内地方などの自治体、観光業関係者ら約100人が無事故と乗船客増加を祈願した。
出羽三山神社の山伏による神事の後、船を運航する最上峡芭蕉ライン観光の鈴木富士雄社長が「知床や保津川で事故が発生しており、今日の安全運航祈願祭を契機に、より一層の安全運航に努めていく。社員一丸となって地域のために貢献していきたい」とあいさつ。続いて、戸沢学園4年生21人が「最上川舟唄」を元気いっぱいに歌い上げた。
祈願祭後は児童や村民などが試乗船に乗り込み、春の最上峡の美しい景色を楽しんだ。
同社によると、今年は約9万人の利用を見込んでいる。少人数グループの旅行客を中心に需要があり、今のところコロナ禍前の6―7割程度まで観光客が戻ってきている印象という。
同社が運航する舟下りは船番所から白糸の滝近くの草薙まで12キロ、約1時間。料金は大人(中学生以上)2800円、子ども(小学生)1400円。問い合わせなどは最上峡芭蕉ライン観光=電0233(72)2001=へ。
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鶴岡の春の味覚・湯田川孟宗(もうそう)の採れたてを販売する直売所が26日、鶴岡市湯田川で今シーズンの営業を開始した。コロナ禍の影響で2020年から直売を見合わせており、直売所オープンは4年ぶり。切り口がみずみずしい朝掘りの孟宗を求め、大勢のファンが早朝から並んだ。
直売所はJA鶴岡湯田川孟宗部会(佐藤久男部会長、会員60人)が毎年、旬の時期に開設。掘ってから店頭に並ぶまで早くて1時間という新鮮で良質な湯田川孟宗を求め、コロナ禍前の週末には大勢の客が行列を作り供給が追い付かなくなるほどの人気を博した。
同JAや生産者によると湯田川孟宗は近年、豊作の表年と不作の裏年が交互に訪れており、今年は裏年に当たる。表年の昨年は約17トンの収穫があったが、今年の見込みは平年よりやや少ない7?8トン。
この日は午前6時半ごろから生産者が続々と直売所を訪れ、朝掘りの孟宗を運び込んだ。あいにくの雨天となったが、生産者は直売所の開店直前まで孟宗を掘り集め、15人から計183・7キロが集まった。
直売所前には午前6時より前から数人が並び、開店時には20人余りとなった。順番に店内へ案内されると手に取って品定め。中には両手に袋いっぱいの孟宗を買い求め、満足そうな笑顔で帰途に就く人も。秋田市から夫婦で来たという60代の女性は「朝掘りの孟宗のうわさを聞いて買いに来た。庄内の食べ物は何でもおいしい。孟宗汁に挑戦してみたい」と話していた。
佐藤部会長は「この3年間、個人向け販売はダイレクトメールなどによるものがほとんどで、4年ぶりの直売は感慨深い。週末に多くの人が並ぶ光景をまた見られたら」と話していた。直売のピークは5月上旬で、集荷終了は同下旬の見込み。
直売所は毎日午前6時半に整理券を配布し、7時半に販売を開始する。1キロ当たり700?1000円で量り売り、その日の出荷分がなくなり次第終了する。
2023年(令和5年) 4月27日(木)付紙面より
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国際ロータリー(RI)第2800地区(本県)による青少年交換留学生制度で庄内地域を訪れている外国人留学生3人が25日、酒田市日吉町一丁目の「舞娘(まいこ)茶屋 相馬樓」(樓主・新田嘉一平田牧場グループ会長)を訪問、酒田舞娘の舞を鑑賞したほか、一緒に写真を撮るなどし日本文化の一端に触れた。
RIによる交換留学生制度は、異文化を理解して国境を越えた友情・信頼を築く機会を若者に提供するもの。今回、相馬樓を訪問したのは、いずれも昨年8月に来庄し、翌9月から羽黒高で学んでいる朱安萍さん(19)=台湾出身=と葉語芯さん(19)=同、酒田南高に通うティンドラ・エッカースタインさん(16)=スウェーデン出身=の3人。
和服を着た3人は、酒田、酒田中央、酒田東、鶴岡南、酒田スワンの各ロータリークラブ(RC)役員と共に相馬樓を訪問。地方の小鈴姐さんが奏でる三味線の音色に合わせ、舞娘の鈴華さんと鈴涼さんが「庄内おばこ」「元禄花見踊」「酒田甚句」の3番を披露。記念写真を撮ったティンドラさんは「舞娘の皆さんはかわいい。踊りもすてき」と話し、「酒田は食べ物がおいしい。学校も楽しい」と続けた。
酒田スワンRCの堀米淑子会長は「3人は今年6月に帰国する。日本文化に触れてもらうとともに、日本での思い出の一つにしてもらえたら」と話した。