2023年(令和5年) 6月13日(火)付紙面より
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日本海を回遊するスルメイカを追う中型イカ釣り船団の出航式が11日、酒田市の酒田港袖岡埠頭(ふとう)で行われ、大勢の市民らが乗組員たちの航海の安全と大漁の願いを込めて送り出した。
150トン前後の中型船で船団を組み、6月初旬から年末ごろまで日本海中央部の大和堆を中心に島根県沖からオホーツク海まで操業、「<船凍(せんとう)イカ」にして水揚げする。本県関係の船は計7隻で「山形県船友漁撈長会」(山形船団)を結成し、全国トップクラスの水揚げを誇っている。漁撈長は全て飛島出身者。
出航式は2006年から市と県漁業協同組合が中心になって実施。酒田港への水揚げ高の約8割がスルメイカという「イカのまち酒田」や本県水産業をアピールする狙い。この日は山形船団のうち4隻が大漁旗を飾り酒田に集まった。午前10時ごろから善寳寺(鶴岡市)の僧侶による祈祷(きとう)に続いて式典が行われ、丸山至酒田市長、森田廣県議会議長はじめ県議、市議らが出席。また船団を見送ろうと乗組員の家族や大勢の市民らが詰め掛けた。
山形船団の本間健船団長(67)=第八十六若潮丸漁撈長=は「予定では次に港に寄るのは8月中旬ごろ。最終的には年末まで漁を続ける。年々海の中も変わってきており、漁が思い通りにはいかないのが現状だが、安全に気を付けて、必ず船いっぱいにイカを積んで酒田に帰ってきたい」と決意を述べた。
式典終了後、乗組員らは家族や友人たちとしばらくの別れを惜しみながら出航準備を進めた。毎年家族を見送りに来ているという荘司恭さん(67)は「北朝鮮のミサイルや天候など心配事は多い。無事に帰ってくるのを見ると本当にほっとする。今年も航海の安全と大漁を願って送り出したい」と話した。
船団は正午ごろから1隻ずつ、「太鼓道場風の会」の勇ましい和太鼓演奏が響く中、五色(ごしき)のテープを手にした家族らから「頑張って」などの声援を受け、出航した。
2023年(令和5年) 6月13日(火)付紙面より
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鶴岡市東岩本の不動山本明寺(大坂信快住職)で11日、庄内地区の寺院では珍しい山伏修験の行事「火渡り」が行われた。同寺開祖で、現存する湯殿山系即身仏としては最も古い本明海上人の生誕400年の節目の年とあり、大勢の信者が身体堅固や家内安全を祈りながら火の上を渡った。
庄内では古くから月山、羽黒山、湯殿山の出羽三山で山岳修験が受け継がれてきた。江戸時代まで羽黒山、月山は天台宗系統に、湯殿山は真言宗系統にそれぞれ属していた。明治期の神仏分離令と修験道廃止令により寺禄を失い神社となったが、現在も一部は寺院のまま修験道を受け継いでいる。
湯殿山系真言宗の流れをくむ本明寺には、約340年前の1683(天和3)年に即身仏となった本明海宗和上人が祭られており、12年に1度の丑歳(うしどし)御縁年に合わせて即身仏の衣替えを行う。衣替えの記念行事として薪を組み上げて柴をたく柴灯護摩(さいとうごま)が行われており、2009年から火渡り行事も同時に実施している。今回は本明海上人の生誕400年に合わせ、2017年以来6年ぶりの火渡りとなった。
この日の午後2時過ぎ、地元住民など200人余りの信者が見守る中、大坂住職や山伏たちが長柄の斧や刀を用いて魔を払う護摩法が繰り広げられた。火が付けられた柴が燃え尽きる頃、薪ごと崩して火渡りが始まった。はだしで火の上を渡ることで自己の迷いの心を焼き、すべての物事を最後までやり抜く強い力を得るための修験の行という。
煙がくすぶる炭の上を山伏たちが渡り祭壇に一礼。続いて希望する信者が列を作り、手を合わせながら次々と火の上を渡った。
庄内を拠点に活動するユーチューバーのアフロりゅうじさん(30)=本名・難波竜次=も火渡りに挑戦。「火渡りを続けてきた先人や現在行事を継承する人たちなど、さまざまな思いを感じた。少し熱かったが自然と感謝の気持ちが湧いてきた」と話していた。また、余目三小2年の天野真聖君(8)は「足が速くなるよう願いながら渡った。熱かったけど我慢できた」と笑顔を見せていた。
2023年(令和5年) 6月13日(火)付紙面より
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鶴岡市湯温海のあつみ温泉街で11日、一日限りのスペシャルイベント「あつみ温泉おもてなし祭り」が行われた。朝市広場や「足湯あんべ湯」付近でキッチンカーやクラフト雑貨が出店したほか、たくさんのバラの花を浮かべた足湯が観光客の人気を呼んだ。
同イベントは、出羽商工会温海支所とあつみ観光協会の主催で実施している「ばら園まつり2023」(今月1?30日)の一環として行われた。
この日の午前中は曇りとなったが、前日に続き蒸し暑さを感じる初夏らしい天候。温泉街の朝市広場では、布細工や雑貨、温海地区特産のしな織などが販売され、地元の子どもたちによる念珠関辨天(べんてん)太鼓の演奏なども行われた。
また、あんべ湯では赤やピンク、白、オレンジと色とりどりのバラの花が浮かべられた。東京都から旅行で訪れた40代と50代の夫婦は「もともと加茂水族館を見るため鶴岡市を訪れた。宿泊先のパンフレットでバラの足湯を知り、さっそく漬かりに来た。ゴージャスでお湯もとても気持ち良い」と話し、のんびりと足湯を楽しんでいた。
2023年(令和5年) 6月13日(火)付紙面より
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バレーボールVリーグ女子1部への昇格が決まった酒田市のプレステージ・インターナショナルアランマーレの選手・スタッフによるスポーツクリニックが10日、遊佐町の旧藤崎小体育館で開かれ、同町の児童と保護者が選手らと体を動かし心地良い汗をかいた。
多くの子どもたちから体を動かす楽しさを味わってもらおうと、アランマーレは2020年から、ユニホームパートナーで電気・ガス事業、エネルギーインフラ・資源開発など手掛ける「JERA」(東京)の協賛でスポーツクリニックを開催。遊佐町では初めてとなった今回は、町教育委員会の後援で実施。選手17人とスタッフ6人が訪問し、遊佐小1―6年と保護者計約30人が参加した。
開会行事、ウオーミングアップに続き、司会が「うま」と言ったら子どもたち、「うし」と言ったら保護者たちが館内の壁に向かって走り、それを追い掛けて腰に付けたひもを取る「動物のしっぽ取り」、2班に分かれてトレーニング用ラダーを「ケンケンパ」でそれぞれ進み、ぶつかったところでじゃんけんをする「どんじゃんけんぽん」など選手たちが考えたプログラムに沿って、親子で楽しいひとときを過ごした。
競技の合間、参加親子は選手たちと会話を楽しむなど交流。途中、近くの藤崎保育園に通う園児たちも見学に訪れた。小学3年からスポ少でバレーをやっているという6年の佐藤花音さん(11)は母親と参加、「選手の皆さんはかっこいい。いろいろなことを教えてもらい、楽しかった」と話し、「V1リーグでもたくさん勝ち、もっとかっこよくなって」と続けた。
V1でも旋風起こして 酒田で祝賀会活躍期す
アランマーレのV2優勝とV1昇格を祝う、酒田地区バレーボール協会(鈴木剛一会長)主催の祝賀会が9日夜、酒田市のホテルリッチ&ガーデン酒田で開かれた。
同協会役員が実行委員会(委員長・鈴木会長)を組織し企画、関係者約100人が出席した。館内が拍手で包まれる中、選手・スタッフが入場し壇上で、全員に花束贈呈。鈴木会長が「創部8年での1部昇格は、パイオニアレッドウイングス(廃部)よりも早く、その快挙さが分かる。広く市民に勇気と感動、自信を与えてくれたチームをこれからも応援していく。V1でも旋風を起こして」とあいさつ。安川智之副市長が「市民に愛されるチームで、街に溶け込んでいるという印象。酒田をバレーの街にしたく、共に頑張っていきたい」と述べた。
これを受けてアランマーレの西尾博樹GMが「優勝・昇格は皆さんが支えてくれたおかげ。今まで以上によろしくお願いしたい」、北原勉監督が「皆さんによるホームゲームの完璧な運営のおかげと思う。酒田、山形から日本、世界へ皆さんと共に羽ばたきたい」と謝辞を述べた。
森田廣県議会議長の音頭で乾杯。祝宴ではバレー談義に花を咲かせ、さらなる飛躍を期した。
2023年(令和5年) 6月13日(火)付紙面より
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鶴岡市美原町の住宅地で11日、クマの目撃が3件相次いだ。市民が目撃したのは未明から深夜にかけて。届け出を受けた鶴岡署はパトカーを出動するなどし、周辺住民に注意を呼び掛けている。
同署によると、同日午前1時35分ごろ、美原町のコンビニエンスストア前の市道で車を運転していた40代男性がクマを目撃した。
さらに5時間後の午前6時25分ごろ、美原町公民館から北東約200メートルの駐車場にクマがいると60代男性が同署に届け出た。
午後10時15分ごろには、筬橋(おさばし)児童公園から南へ約150メートルの内川を上流に向かって歩くクマ1頭を60代男性が目撃した。届けがあったクマの体長はいずれも1メートル前後。3件ともクマは早々に目撃現場を立ち去ったという。
11日午前、鶴岡署と鶴岡市、猟友会合わせて約10人が出動し、警戒とともに捜索に当たった。周辺でクマのものとみられる足跡やふんが確認されたが、発見はできなかった。同市教育委員会は周辺の小中学校に緊急メールで注意喚起した。
鶴岡署は12日、現場周辺の学校の登下校時間に合わせ警戒を続け、市などは広報パトロールで周辺住民に注意を呼び掛けた。市によると現場周辺では12日午前、新たな目撃情報は寄せられていないという。
2023年(令和5年) 6月13日(火)付紙面より
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酒田市の酒田光陵高校(藤田雅彦校長)のビジネス流通科で学ぶ3年生39人が企画した「第2回パンフェス」が10、11の両日、同市中町の中町モールで行われ、生徒たちが実際の販売活動などについて理解を深めた。
ビジネス流通科では、販売実習を通して地域活性化につなげようと、光の湊内の酒田駅前交流拠点施設「ミライニ」や中町モールで、生徒自らが地元のお店や農家などと交渉し、スイーツや野菜、果物などを仕入れ、販売する学習イベント「maraマルシェ」などを開催してきた。
今回は中町のスーパーマーケットが閉店したことで、買い物に苦慮している市民がいることなどを聞いた生徒たちが、昨年末から企画を温めてきた。中町モールに出店している無印良品酒田ポップアップストアとこのゆび商店の協力を得て、両店前に販売場所を確保。これまでの活動で好評だった「パン」をテーマに生徒たちが地元ベーカリーと仕入れ交渉するなどし▽メーテール(光ケ丘二丁目)▽中町木村屋(中町三丁目)▽鈴木製パン(住吉町)▽なないろplus(千石町二丁目)▽小幡楼ヒヨリベーカリー&カフェ(日吉町二丁目)▽の様な(北青沢)▽オリーブ(光ケ丘二丁目)▽ブーランジェリーNAO(遊佐町北目)―の計8店が協力した。
このうち、初日の10日には3年生と手伝いの1年生計約30人が参加し販売や会計、商品補充などを担当。午前10時半の開店とともに多くの買い物客らが詰め掛けた。会場ではカレーパンやクロワッサン、ベーグル、チョコレートを織り込んだミニ食パンなど焼きたてのパンの香ばしい香りに包まれ、買い物客が品定めしながら買い求めていた。今回のパンフェスでリーダーを務めた3年の阿部未麗さん(17)は「仕入れの交渉は各店それぞれ状況が違うので実際にやってみると大変だった。将来は販売関係の仕事をしたいので、今日は接客能力などを学びたい」などと話していた。