文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2023年(令和5年) 6月17日(土)付紙面より

ツイート

環境への影響綿密に調査 鶴岡市加茂地区 風力発電勉強会 事業者が計画検討状況説明

 鶴岡市加茂地区で計画されている風力発電事業に関する地元の勉強会が15日夜、同市加茂コミュニティ防災センターで開かれた。事業者のジャパン・リニューアブル・エナジー(JRE、本社・東京)の担当者が事業計画の検討状況を説明し、「現在は加茂地区で事業ができるかどうかの検討を開始した段階。調査の実測値を基に鶴岡市と話し合い、説得していきたい」と述べた。

 JREに事業の中止を申し入れている市に対し、申し入れの撤回と調査の継続を求めている地元住民による「地域の未来と環境を考える会」(伊藤薫会長)が、加茂地区住民に呼び掛けて開催した。同会は、市議会に、請願を提出するとともに、3月初めから署名活動を行っており、伊藤会長によると、15日現在で地元を中心に市内外から2023筆の署名が集まったという。

 勉強会には約50人が参加した。JREの担当者は再生エネルギーの必要性や風力発電のメリット・デメリット、事業実施の事前調査となる環境影響評価の内容などを説明した。一般的なスケジュールとして環境影響評価を経て、国などの許認可を得るまでは今後3―4年かかり、その後の着工から運転開始まではさらに3―4年を要するとして、「加茂地区の場合も運転開始までは通常、これから6―8年は要する」とした。

 参加者からは、計画する丘陵地の開発に伴う土砂流出、騒音、鳥類などへの影響を不安視する質問があり、JREの担当者は「いずれも綿密に調査し対応する。繰り返し説明し、対話を継続して不安を払拭していく」と述べた。鳥類に関する調査は昨年2月から継続しているとし、「こうした調査の実測値を基に市と話し合いたい」と語った。

 参加者からは「検討段階の時点で、賛成・反対とヒートアップし過ぎている。検討の進み具合や環境影響評価の調査を待ってもいいのでは」「引き続き丁寧に説明し、地元の理解を得てほしい」「加茂地区だけでなく隣接の大山地区などを含めた地域で、これからの地域の在り方を考える機会にしてほしい」といった意見、要望も出された。

 主催した考える会は今夏をめどに、市に対して署名簿とともに事業中止申し入れの撤回などを求める要望書を提出する方針。

加茂地区の住民を対象に開かれた風力発電事業に関する勉強会
加茂地区の住民を対象に開かれた風力発電事業に関する勉強会


2023年(令和5年) 6月17日(土)付紙面より

ツイート

鶴岡・三井家に伝わる書画と工芸 致道博物館 企画展 歴史に刻まれた名品並ぶ

 鶴岡市の致道博物館で企画展「商家に伝わる名品―鶴岡三井家の書画と工芸」が開かれている。城下町鶴岡の旧家・三井弥惣右衛門家に伝わる数々の美術工芸品を展示している。展示は7月30日(日)まで。

 鶴岡三井家の出自は伊勢国片野(現在の三重県多気郡多気町)で、初代三井弥惣右衛門(1717―79年)は1740年頃に鶴岡に移り住んだ。その後、数代にわたって商いにいそしみ、財を成した素封家として知られる。

 今回展示したのは昨年同家に寄贈を受けた江戸時代前期から昭和初期にかけて制作された絵画や工芸品51点。江戸幕府の御用絵師として活躍した狩野探幽(1602―74年)やその一族による水墨画、明時代の中国絵画に影響を受けた江戸から明治にかけての山水画などを紹介。このほか北前船で運ばれたとみられる肥前磁器や中国の白磁器、木地に大型の貝をはめ込み漆で仕上げられたとっくりなどユニークな作品も展示され、訪れた人は一品一品じっくりと見入っていた。

 また7月1日(土)には初代三井弥惣右衛門の孫娘・清野による旅日記の現代文訳著書などで知られる歴史家・金森敦子さん(新潟市)が訪れ、「関所抜け?旅する女たちの大冒険?」と題して江戸時代の女性の旅について紹介する。時間は午後2時から同4時まで。料金無料(入館料別途)。定員は先着50人。問い合わせ、申し込みは致道博物館=電0235(22)1199=へ。

鶴岡三井家に伝わる美術品を紹介する企画展
鶴岡三井家に伝わる美術品を紹介する企画展


2023年(令和5年) 6月17日(土)付紙面より

ツイート

岸田首相の記者会見を聞いて

 岸田文雄首相の記者会見を聞いた。主要テーマは子ども・子育て政策について。しかし、閣議決定した「こども未来戦略方針」によって、少子化に歯止めがかけられるかについては、首相の発言から少なからずの疑問を覚えた。「異次元の少子化対策」を掲げて児童手当の拡充などを図るというが、それだけでは十分だろうか。

 少子化の一因として未婚率の高まりが指摘され、結果として出生数の低下につながっている。若い世代が所得問題から結婚を控える傾向があるとされ、少子化対策は、何よりも若者が結婚しやすい環境でなければならない。特に経済的に。そのため、非正規雇用者の労働改革が必要と思われるが、首相からその具体策が聞かれなかった。

◇      ◇

 首相は少子化は「日本の社会や経済全体に関わり、先送りできない待ったなしの課題」と強調した。「結婚し、子どもを産んで育てたいという、将来に希望を持てる社会をつくらない限り、少子化の流れを反転できない」とも語った。2022年の出生数は統計を取り始めた1899年以降、初めて80万人を割り、少子化が止まらない。

 記者会見で明かした異次元の少子化対策は(1)児童手当の支給対象年齢を高校生年代まで引き上げる(2)第3子以降に月額3万円を給付する(3)「こども誰でも通園制度」創設―が柱。しかし、その実現には3兆円半ばの予算が必要とするのに加え、30年代初頭までにこども関連予算の倍増を目指すという。首相は財源を「徹底した歳出改革の実施で賄い、詳細は年末に示す」と語ったが、野党は「財源確保を先送りし、解散総選挙後に増税を持ち出すのではないか」と警戒する。

 国の財政は借金頼み。防衛予算の大幅増額問題もあり、少子化対策に要する巨額の予算を、歳出改革だけで生み出せるだろうか。首相は「内部努力によって、国民に実質的に追加負担を生じさせないことを目指す」と明言した。国民が負担増を望まないことは確かであろう。現在の子育て世代支援を手厚くすることは大事だが、果たしてそれだけで少子化が止まるだろうか。

◇      ◇

 未婚化や晩婚化の背景には所得問題がある。首相は「賃上げや労働市場改革とセットで少子化対策でも経済的支援に重点を置く」と語った。労働環境の改善、特に低賃金で働く非正規雇用者の所得を、同一労働同一賃金で改善し、未婚者の経済的安定を図り、婚姻数増につなげる政策が要る。

 過去、現金給付で国民の関心を引き寄せようとした政権もあった。特に選挙前は。しかし少子化対策は一時しのぎで解決できる問題ではない。こども未来戦略方針の推進は当然のことだが、何よりも将来を担う若年世代が進んで結婚したいと思う環境を整備する。その対策を、より具体的な言葉で首相から聞きたかった。

画像(JPEG)


2023年(令和5年) 6月17日(土)付紙面より

ツイート

日本ご当地ラーメン総選挙エントリー 本県唯一 酒田のラーメン 全国44点 東北7点 ウェブ予選投票呼び掛け

 「真のラーメン日本一を決める」をコンセプトに掲げ、日本ラーメン協会(東京、玉川正視理事長)などが実行委員会を組織し主催する「日本ご当地ラーメン総選挙」に、文化庁「100年フード」の認定を受けた、酒田市の「酒田のラーメン」が本県から唯一エントリーした。今年10月の本選出場に向けたウェブ予選が現在展開中で、市は広く支援を呼び掛けている。

 ご当地ラーメンは、その土地独自の文化や歴史、社会的背景など複合的な事象で誕生した、特色あるラーメンのこと。同協会は▽その土地で広まった実績がある▽特長、特色、定義がある▽発祥から20年以上の歴史を持つ▽知名度がある▽その土地の食文化・社会背景がある▽応援団体が存在する▽行政など公的機関が主体となり、そのメニュー名が認定されている―の7項目を「定義」とし、独自調査で「ご当地ラーメン一覧」を作成した。

 同協会などは今回、地域活性化の起爆剤にもなり、素晴らしい観光資源でもある「ご当地ラーメン」に光を当てて全世界にアピールしようと、実行委を組織し初めて「総選挙」を企画した。

 一覧にも名を連ね、今年3月には未来部門で100年フード認定を受けた「酒田のラーメン」は、1926(大正15)年に中国人が伝えた「支那そば」が起こりとされ、煮干しやコンブ、トビウオの焼き干しなどでだしを取った、あっさりとしながらもこくのあるしょうゆ味が特長。スープとよくなじみ、伸びにくい自家製麺も要素の一つとなっている。

 ウェブ予選は全国を7つのブロックに分けて計44点がエントリーしており、このうち東北ブロックは「酒田のラーメン」など7点。7月11日(火)までの期間中、ツイッター、フェイスブック、LINEのアカウントを持っている人を対象に総選挙ホームページ(HP)=https://www.ramenshow.jp/gr/=で1人1日1回投票できる。同ブロックからは上位2点が10月5(木)―9日(月)に都内で行われる本選に進出する。

 「酒田のラーメン」の本選出場に向けて市は、酒田のラーメンを考える会(齋藤直代表)と連携し今後、積極的な情報発信で広く投票を呼び掛けるとともに、市内企業・店舗へのポスター掲示、チラシ配布など行うことにしている。問い合わせなどは市交流観光課=電0234(26)5759=へ。

「日本ご当地ラーメン総選挙」にエントリーした「酒田のラーメン」=総選挙HPより
「日本ご当地ラーメン総選挙」にエントリーした「酒田のラーメン」=総選挙HPより


2023年(令和5年) 6月17日(土)付紙面より

ツイート

震災の教訓受け継ぎ訓練 京田小など 6月16日 新潟地震犠牲者の冥福祈る

 1964(昭和39)年6月16日の新潟地震で幼児3人が犠牲になった鶴岡市京田地区で16日、地元の京田小学校(阿部敬子校長、児童127人)とほなみ保育園(遠藤由貴園長、園児94人)で避難訓練と追悼式が行われた。「自分の命は自分で守る」という防災意識を再確認するとともに、犠牲者の冥福を祈った。

 新潟地震は新潟県粟島付近を震源とし、マグニチュード7・5を記録。庄内地方では鶴岡市で当時、京田小旧校舎に併設されていた京田幼児園の園児3人が倒壊した園舎の下敷きに、酒田市では酒田三中の生徒1人が地割れに落ちるなど、計9人が犠牲になった。

 これを教訓に、京田地区では地震が発生した6月16日に合わせて毎年、京田小やほなみ保育園が避難訓練と追悼式を実施している。

 このうち京田小で行われた避難訓練では、サイレンが鳴った後、「地震が起きました。机の下に身を隠し身を守りなさい」とアナウンスが入った。揺れが収まったとし、児童は学年ごとで色違いのヘルメットを着けて教室から体育館へ移動。階段は上学年が右側、下学年は左側を進み、互いが交錯しないよう工夫し素早く避難した。

 引き続き体育館で行われた追悼式では、児童を代表して佐藤百華さん(6年)が「祖父と祖母に当時の話を聞き、地震はとても怖いものだと改めて感じた。犠牲になった人の分まで生き、悲しい天災があったことを忘れずに語り継いでいきたい」と話した。その後、各学年の代表児童が順番で祭壇に花束をささげ、犠牲者の冥福を祈り黙とうした。最後に阿部校長が当時の被害状況を説明し「悲惨な地震はいつ起こるか分からない。自分の身は自分で守ることをしっかり頭に入れて」と呼び掛けた。

学年で色別のヘルメットを着け素早く避難=京田小
学年で色別のヘルメットを着け素早く避難=京田小

犠牲者の冥福を祈り、祭壇に花束をささげる児童=京田小
犠牲者の冥福を祈り、祭壇に花束をささげる児童=京田小



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field