2023年(令和5年) 6月20日(火)付紙面より
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「櫛引さくらんぼまつり」が18日、鶴岡市西荒屋の産直あぐりをメイン会場に開かれ、好天の下、県内外から訪れた大勢の行楽客がサクランボ狩りやイベントを楽しんだ。
旧櫛引町時代から栽培が盛んなサクランボを広くPRしようと、櫛引観光協会、産直あぐり、西片屋さくらんぼ振興会が連携して、2001年から開催。22回目の今年は、櫛引地域の5つの観光さくらんぼ園でサクランボ狩りが行われた。
このうち鈴木さくらんぼ園(西片屋)では、例年より1週間ほど早く主力の「佐藤錦」が収穫の最盛期を迎えたほか、それより早生の「紅ゆたか」、晩生の「紅秀峰」も加わり、来園者は真っ赤に実った3品種を中心にもぎ取りし味わっていた。同園を運営するクラムピースの宮城良太社長(45)は「今日がもぎ取りのピーク」と話し、団体客も含め約350人が来園した。園内の販売所では収穫を迎えた「やまがた紅王」も並び、1粒400円で販売。注目を集めていた。
新潟県長岡市から家族3人で訪れた細貝恵美さん(47)は「本場のサクランボを食べたくて新潟から行きやすい場所を選んで車で来た。紅秀峰が甘くてとってもおいしい」と話していた。
メイン会場の産直あぐりでは佐藤錦などの品種が販売され、櫛引産のサクランボを買い求める人が大勢足を運んだ。さくらんぼまつりは来月2日まで、櫛引地域の観光施設を巡るスタンプラリーも行っている。
2023年(令和5年) 6月20日(火)付紙面より
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鶴岡市立農業経営者育成学校「SEADS」(シーズ)の第1期卒業生・須藤明里(あかり)さん(28)=鶴岡市切添町=が少量多品目の野菜栽培に取り組んでいる。「私も数えたことがないからはっきりとは分からない」というが、扱っているのはざっと50品目。これだけ多くの野菜をすべて基準値以下の低農薬で育てているのは県内でも珍しい。須藤さんは「(SEADSを)卒業して1年目の昨年は準備に追われた感じ。今年は腰を据えて栽培したい」と話している。
須藤さんは鶴岡市出身。東北芸術工科大学卒。会社勤めをした後、山形市内の飲食店で働いた際、食材に使う野菜に興味を持った。「安全でおいしい野菜をたくさん育てて飲食店や旅館に使ってもらえたら」―。そんな思いがきっかけとなり一念発起、農業を専門的に2年間学ぶSEADSに入校した。
「いろんな種類の野菜を作る」という入校当時からの目標にぶれることはない。今は鶴岡市民田にある2棟のハウスと露地栽培を手掛ける。ハウスは高齢で主人が亡くなった農家から借りてビニールを張り替えるなどしてリニューアルした。
育てている野菜はキュウリ、レタス、ミニトマト、インゲン、ケール、ズッキーニ6品種、コリンキー(生食用のカボチャ)、南蛮、スティックセニョール、ビーツにモロッコインゲン、バジルなど。ハウスの中は品目ごとに植えた数メートルのうねがずらりと並ぶ。4月中旬のはつか大根からスタートし、さまざまな夏野菜を経て12月の大根やカブ、サトイモで収穫を終える。1月と2月の厳冬期は除雪作業の助手として生活を支え、2月下旬から再び春の農作業に入る。
「自分で考え、自ら動くことが農業の魅力。繁忙期は早朝から夜遅くまで大変なこともあるが、ストレスを感じたことは一度もない」と須藤さん。「地域農家のおじいちゃんやおばあちゃんたちが、いつも親切に教えてくれる。感謝です」と笑顔を見せる。
今後は民田ナスの品種の一つ「梵天丸」の栽培に取り組みたいという。「民田ナスは丸い薄皮が定番になったが、梵天丸は皮が固い丸ナス。個人的には昔親しまれた食感を取り戻せたらいいなと思う。民田で農業をさせていただいている以上、伝統在来ナスの『元祖』にスポットライトを当てたい」。多品目農家としてのドリームとチャレンジは尽きない。
2023年(令和5年) 6月20日(火)付紙面より
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さて1粒400円の高級サクランボはどれでしょう?―。鶴岡市櫛引地区で栽培されているサクランボの食べ比べを楽しむイベントが17日、錦町のS―MALL2階クッキングスタジオで行われた。このイベントは櫛引産フルーツの地産地消を進めようと「櫛引地域産業振興プロジェクト推進協議会」が企画した。
今回のテーマは旬を迎えた「サクランボ」。櫛引地区で栽培されている20種類以上の中から王様として親しまれている「佐藤錦」、人気が高い「紅さやか」、500円硬貨と同じくらい大きい粒の「やまがた紅王」、粒の色が黄色い「月山錦」など13品種を用意し、市内から訪れた親子ら15人の参加者が試食した。
参加者は「初めて食べた月山錦がおいしかった」「これほど多いサクランボが櫛引地区で育てられているとは思わなかった」「内陸のイメージが強い『やまがた紅王』も櫛引で栽培されていることを初めて知った」といった感想を話した。食べ比べの後は食育インストラクターで酒田調理師専門学校の講師を務める土田道子さん(57)=鶴岡市板井川=がサクランボを使った「クラフティ」(サクランボのグラタン)と「パフェ」の作り方を伝えた。
イベントを企画した推進協議会の担当者は「1粒400円のサクランボは『やまがた紅王』。フルーツ王国櫛引で育てられている果物を計6回シリーズで紹介していきたい」と話し、次回(8月上旬)は櫛引産のモモをテーマにした食べ比べとクッキング教室を予定している。
2023年(令和5年) 6月20日(火)付紙面より
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秋田市大森山動物園の「開園50周年記念キャラバン」が18日、鶴岡市の加茂水族館駐車場で繰り広げられた。訪れた多くの家族連れは動物の骨格について学んだり、愛らしい動物と触れ合った。
大森山動物園と加茂水族館、秋田県の男鹿水族館GAOの3園館は、相互交流を行い、互いの地域のにぎわいを創出しようと、10年前からスタンプラリーや出張展示など連携事業を続けている。加茂水族館での大森山動物園の動物展示は今回が初となった。
この日は体長約40センチのジャンボウサギの子ウサギ2羽やモルモット4匹、ハリネズミの「ウニ君」、希少種・アカコンゴウインコの「メレブちゃん」を展示した。動物がゲージに入れられると来場者は興味津々にスマートフォンで撮影。単語を流暢に話せるメレブちゃんが「ハロー!」「サンキュー!」と話すと子どもたちから黄色い声が上がった。
酒田市立琢成小2年の新田結子さん(7)は「ウサギの目が赤くてふさふさしてかわいかった。鳥がしゃべれることを知らなかったのでびっくりしたけど面白かった」と笑顔を見せた。
3園連携10周年記念 7月1日から相互特典
3園館連携10周年を記念し、7月1日(土)から3施設いずれかの年間パスポートを提示すると、どの施設でも相互特典を受けられる「三園館相互特典」が始まる。
加茂水族館では売店「海月灯り」で1000円以上の買い物で10%の割引を受けられ、他施設でもソフトドリンクの無料サービスや入館料の割引といった特典を受けられる。問い合わせは▽加茂水族館=電0235(33)3036▽大森山動物園=電018(828)5508▽男鹿水族館GAO=電0185(32)2221=へ。
2023年(令和5年) 6月20日(火)付紙面より
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鶴岡市鼠ケ関にある本県と新潟県の県境で17日、「第1回境目で反復横跳び世界大会in羽越」が開かれた。子どもから大人まで参加者たちが「ヤマガタ!マンナカ!ニイガタ!」の掛け声とともに県境を反復横跳びし、点数を競った。
温海地域で自然体験や環境教育プログラムの提供に取り組むNPO法人の自然体験温海コーディネット(本間洋一会長)の主催。1999(平成11)年から行われた市町村合併(平成の大合併)以来、隣接する自治体相互の交流の減少を受け、「境目を行ったり来たりしながら“見えない壁”を打ち破ろう」という発想から競技が生まれた。
公式ルールは30秒の制限時間内に3本の線の上で反復横跳びをする。線幅は111センチで、全体の幅は222センチ。横跳びの際、線に足が触れていれば1ポイントが入る(ジャンプポイント)。各線をまたぐ時に県境で「マンナカ」、山形側で「ヤマガタ」、新潟側で「ニイガタ」と指定ワードを発する。地名を正確なタイミングではっきり言えれば1ポイント(シャウトポイント)。競技者は両ポイントの合計得点を競う。
この日は前日の雨が上がり暑さを感じる好天となった。大会には山形、新潟の両県在住の8歳から60歳まで男女27人が出場。参加者を代表して泉倖太さん(鶴岡市ほなみ町)が「人口や自治体の減少に伴い、隣同士なのに見えない壁、心の壁が生まれてしまった。そんな状況を打破するため、私たち選手一同は全身全霊で反復横跳びする」と力強く選手宣誓し、午後2時に競技がスタートした。
最初の挑戦者がこれまでの世界記録(104ポイント)を大きく上回る150ポイントを出すと、周囲の見物客からは大きなどよめきが起こった。その後も120?170点台が次々と飛び出し、1人の競技が終わるたびに見物客が大きな拍手を送っていた。
最年少参加者で130点をマークした小野寺朝紀君(8)=京田小3年=は「練習ではジャンプポイントが50点ぐらいだったが、本番で65点を出せた。次は世界記録を狙いたい」と話していた。