文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2024年(令和6年) 1月19日(金)付紙面より

ツイート

藻場再生の取り組み奏功 鶴岡市・暮坪地元漁師たち アワビ回復目指し手応え 取り組み4年目 幼藻広い範囲に

 鶴岡市温海地域の暮坪の漁師たちでつくる「暮坪藻場保全会」(土田信明代表)が、地区の海岸で藻場の再生に取り組んでいる。浅海漁業の大きな収入源となるアワビを安定的に水揚げすることが目的。今年で4年目になるがこれまでの活動が功を奏しホンダワラ類を中心とした海藻が増えている。

 保全会は2020年に発足した。会員は60―70代の磯見(いそみ)漁師ら14人。県水産研究所(鶴岡市加茂)の専門研究員を指導者に「立岩」があることで知られる暮坪沿岸の南北約400メートル区間の維持・回復に向けた活動を始めた。

 保全会によると、地区の海岸には例年、県栽培漁業センター(鶴岡市三瀬)で育成したアワビの稚貝約3000個を放流している。資源保護のため9月から11月の産卵期は禁漁にしているが、資源の減少が著しく近年は不漁が続いていた。かつては庄内沿岸全体で1億円を超えていたアワビの水揚げ額は10分の1以下まで減少しているという。

 「回復させるには餌となる海藻を増やすことが必要」と水産研究所のアドバイスを受け、ホンダワラ類の母藻(ぼそう)を定着させたり、幼胚(ようはい)(種)を拡散させて藻場の再生に挑んだ。一昨年には加茂水産高校の生徒とヒトデなどの食害生物を駆除する活動を行った。

 このほど海に潜って調査したところ、若い海藻が広いエリアで確認。5~13センチの大小のアワビも数多く生息していることが分かった。定期モニタリングでは5地点のうち4地点で海藻が増えた。種類はホンダワラ類の「フシスジモク」や「アカモク」のほかに「紅藻(こうそう)類」も見られた。

 保全会の土田代表(63)は「確実に藻場が再生され手応えを感じている。昨年初めて海藻が育つのに必要なアミノ酸が入ったコンクリートブロックを海岸に沈めたが、どのような効果が表れるか。今秋には分かると思う。今後も水産研究所など専門機関と協力し『育てる海』の活動を進めていきたい」と話している。

【ホンダワラ類】 日本沿岸には約1400種の海藻が分布しているがホンダワラ類はその代表格。三陸沿岸を除いた本州や九州北部などの岩礁域に自生する。海藻は光合成色素の違いによって「緑藻」「褐藻」「紅藻」の3つに大別されるが、ホンダワラ類は褐藻類となる。群生して大きく成長し「海の森」(藻場)を形成する。種類はマメタワラやヤツマタモクなどで、多くは多年草(アカモクの寿命は1年)。夏に発芽し1年間はあまり成長しないが2年目の秋から冬にかけて主枝(しゅし)は数メートルになる。ホンダワラ類にはサヨリやトビウオが卵を産み付けたり、ブリ、メバルといった稚魚が生活する場所(ホンダワラの流れ藻)として重要な役割を果たす。過去、国内では京都府立海洋センター(京都府宮津市)が京都府沿岸でホンダワラ類を中心とした藻場の造成に取り組んだ。

保全活動が功を奏し「幼藻(ようそう)」が広い範囲で確認(暮坪藻場保全会提供)
保全活動が功を奏し「幼藻(ようそう)」が広い範囲で確認(暮坪藻場保全会提供)

加茂水産高生と行った食害生物の駆除活動(暮坪藻場保全会提供)
加茂水産高生と行った食害生物の駆除活動(暮坪藻場保全会提供)


2024年(令和6年) 1月19日(金)付紙面より

ツイート

清河八郎朗読劇に 庄総3年生情感豊かに熱演

 庄内町の県立庄内総合高校(猪又義則校長、生徒140人)の「総合学科発表会」が17日、同校で開かれ、選択授業「地域を学ぶ」の3年生が取り組んできた地域の偉人・清河八郎の生涯を描いた朗読劇が披露された。

 同校の「地域を学ぶ」授業では、数年前から「学びを伝える」をテーマに取り組んでおり、今年は出羽国田川郡清川村(現・庄内町)に生まれ、幕末の激動期に尊王攘夷運動を推進した志士・清河八郎の生涯を振り返る朗読劇に挑戦。これまで約10時間の練習を重ねるなど本番に向けて準備を進めてきた。

 この日の総合学科発表会には全校生徒のほか、一般の見学者ら計約200人が参加。14人のうち1人が病欠となるアクシデントがありながらも互いにサポートしながら本番に臨んだ「地域を学ぶ」生徒たちは、スライドによる関連映像をバックに、八郎とお蓮の出会いや、八郎の死に際の思いなどを情感豊かに演じ、会場から大きな拍手が送られていた。八郎役を務めた横山翔太さん(18)は「緊張したが、全体的には全員よくできていた。観客に清河八郎の人生をうまく伝えられたと思う」と手応えを話していた。

清河八郎の朗読劇を披露する生徒たち
清河八郎の朗読劇を披露する生徒たち


2024年(令和6年) 1月19日(金)付紙面より

ツイート

能登半島地震被災者のために 鶴岡 マリア幼稚園園児が募金活動

 鶴岡市馬場町のマリア幼稚園(渡會ちづ子園長、園児134人)の園児たちが17日、今月1日に発生した「令和6年能登半島地震」で被災した人たちのために同市内の大型量販店3カ所で募金活動を行った。「募金お願いしまーす!」と大きな声の園児たちに、買い物客が善意を寄付した。

 同園では「困っている誰かのために少しでも役に立つよう、自分のできることをやる」といったカトリックの奉仕精神に基づく助け合いの心を子どもたちから学んでもらおうと募金活動を企画。2011年に発生した東日本大震災でも当時の園児が募金活動を行った。

 今回は同市内の主婦の店の協力を得て、年長組の園児25人が3班に分かれパル店(美咲町)、ミーナ店(千石町)、イズモ新斎店(東新斎町)の3カ所で募金活動を行った。

 このうちパル店では園児8人が店舗の出入り口付近で、ティッシュボックスやお菓子の箱などで作った募金箱、「能登半島地震の義援金おねがいします」と書かれた画用紙を手に、買い物客へ募金を呼び掛けた。

 子どもたちの元気な声に、買い物に訪れた高齢者や主婦が目を細めて「えらいのー、頑張ってのー」と声を掛けながら善意を寄付していた。中には1000円札や5000円札を募金する人もいた。三浦千怜ちゃん(6)は「地震で困っている人たちが募金のお金でご飯を買ってくれたらうれしい」と話していた。

 今回の募金は合わせて8万4210円の善意が集まった。同園は幼稚園連合会など全国組織に託し、地震の被災者のために役立ててもらうという。

能登半島地震の被災者のため、マリア幼稚園の園児たちが募金を呼び掛けた=主婦の店パル店
能登半島地震の被災者のため、マリア幼稚園の園児たちが募金を呼び掛けた=主婦の店パル店


2024年(令和6年) 1月19日(金)付紙面より

ツイート

庄内・社会基盤技術フォーラム 治水・地震対策や最新技術学ぶ 専門家講演に加え地元産学官関係者が事例発表

 土木、建築、環境などに関する技術者たちが一堂に会する「庄内・社会基盤技術フォーラム」が17日、酒田市公益研修センターで開かれ、講演や事例発表を通じ、治水・地震対策、最新技術について理解を深めた。

 庄内地域の技術者の資質向上や連帯感を高めることを目的に、地元の教育機関や鶴岡、酒田両市、国交省、東日本高速道路、県建設業協会などによる運営委員会(委員長・渡邉一哉山形大学農学部教授)が1999年度から年1、2回開催している。29回目となったこの日は約250人が参加した。開会行事で渡邉教授は元日に発生した能登半島地震について触れ、「技術者は災害経験からも学びを得ることがあると思う。フォーラムがこれからの社会基盤向上につながることを願う」とあいさつした。

 講演では、国土交通省東北地方整備局の諸橋拓実河川計画課長が「流域治水の取り組みについて」、山形大学農学部の張海仲准教授(地盤工学など)が「庄内平野の地震と地盤」と題し、それぞれ講話した。

 諸橋課長は昨年1年間に東北地方で発生した水が絡んだ災害の発生状況を解説し、「洪水、高波などの治水防御計画は過去の降雨や潮位などに基づき作成されていたが、近年の気候変動による降雨量の増大、海面水位の上昇などを考えると、現在の計画では安全が確保できない恐れがある」と指摘。そして「国交省は計画を見直し施設能力を超過する洪水が発生することを前提に、河川の流域全体の関係者が協働し治水対策を行う『流域治水』への転換を推進している」と述べ、既存ダム、ため池の有効活用や保水、遊水機能の確保などによる水災害被害の軽減対策や取り組み事例を紹介した。

 一方、張准教授は遊佐町から酒田市、庄内町を経て鶴岡市に至る「庄内平野東縁断層帯」について「今後30年以内の地震発生確率はほぼ0―6%だが、阪神淡路大震災直前の兵庫県の活断層地震発生確率は0・02―8%だった。発生確率は前回の地震から長い時間が経過していたとしても必ずしも安全とは限らない」と述べた。

 引き続き地元の産学官の関係者らが「酒田港北港船だまりを対象としたブルーインフラ実証実験」「橋梁点検における新技術の活用事例について」など、施工技術、環境、地域づくりなどに関する20題を事例発表した。

社会基盤整備に向け、治水・地震対策、最新技術について理解を深めたフォーラム
社会基盤整備に向け、治水・地震対策、最新技術について理解を深めたフォーラム


2024年(令和6年) 1月19日(金)付紙面より

ツイート

さらに美しく艶やかに 山形・呉服「とみひろ」 酒田舞娘に振り袖10着贈る

 1578(天正6)年創業の老舗呉服店・とみひろ(山形市十日町四丁目、冨田浩志社長)は17日、酒田市を拠点に活動する酒田舞娘(まいこ)に振り袖10着を寄贈した。酒田舞娘たちは同市の観光PRを担う「さかた観光交流マイスター」を担っており、寄贈を受けた振り袖は酒田まつりなどのイベント、国内外での観光プロモーションの際に着用するという。

 同社はこれまで長く、山形市を中心に活動する「やまがた舞子」に対して振り袖を贈呈。冨田社長は今回、交誼(こうぎ)にしている昨年6月まで県総務部長を務めた小林剛也内閣府参事官・財務省財務総合政策研究所客員研究員から「酒田舞娘にも頼みます」との依頼を受け、加藤聡酒田商工会議所会頭を通し寄贈を打診。桜や菊、ボタンなど花々が艶(あで)やかに描かれ、いずれも相馬樓の座敷に映える10着を選んで贈ることにした。

 贈呈式は、お披露目会を兼ねて酒田市日吉町一丁目の「舞娘茶屋相馬樓」(樓主・新田嘉一平田牧場グループ会長)で行われ、冨田社長ら同社スタッフが訪問。冨田社長は新田会長に目録を手渡した上で、「着物文化と料亭文化は切っても切れない関係。素晴らしい相馬樓で、舞娘から着物を利用してもらえることを光栄に思う。舞娘の皆さんからは日本文化を受け継いでもらいたい」とあいさつした。

 これを受けて新田会長は、酒田舞娘育成に尽力するきっかけとなった歌舞伎の故18代中村勘三郎(先代中村勘九郎)さんとのエピソードを紹介し、「大変ありがたい。酒田舞娘はこれまでフランス、ロシア、中国など世界を回ったが、どこに行っても人気。着物文化同様、世界に誇れる日本の文化と思う。これからも日本文化を世界に発信したい」と謝辞を述べた。

 矢口明子市長が「振り袖は酒田舞娘にとって『ユニホーム』。市にしてもありがたい寄贈」、加藤会頭が「とみひろさんとご縁ができたことがうれしい。引き続き支援を」とそれぞれあいさつ。寄贈を受けた振り袖をまとった酒田舞娘の千鶴さん、鈴華さん、鈴千代さんが「酒田甚句」「ぎっちょんちょん」など3番を華やかに舞った。

 終了後、酒田舞娘たちは「着物に恥じないよう、さらに芸を磨きたい」「見る人を感動させられる踊りを舞いたい」と。冨田社長は「酒田舞娘の役に立ちたいと思っていた。人のご縁に感謝。素晴らしい踊りを拝見し感無量。着物が生きてくる感じがした」と話した。

冨田社長(左)から目録を受ける新田会長
冨田社長(左)から目録を受ける新田会長

寄贈を受けた振り袖で舞を披露する酒田舞娘たち
寄贈を受けた振り袖で舞を披露する酒田舞娘たち



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

 
■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

Loading news. please wait...

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field