2024年(令和6年) 1月20日(土)付紙面より
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民間の経済人や研究者などの有識者らで構成する「人口戦略会議」は、2100年の人口を8000万人で安定させることを目標とするよう政府に提言した。国立社会保障・人口問題研究所が同年の人口を約6300万人と推計したことから、人口減少のスピードを緩和させて8000万人を維持し、少ない人口でも成長力ある国を目指す対策の必要性を提言した。
今から76年後のことはなかなか想像できない。人口戦略会議が提言した人口を庄内5市町の人口に当てはめれば約9万人。そんな中でどのように地域社会を維持すればいいのか。各地で庄内の将来を語り合う集まりが開かれている。心強い取り組みだ。
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鶴岡市朝日地域で中学生と住民による「地域語り合い」が開かれ、若い人に地元に残ってもらうにはどうすればいいかを探った。中学生から「多くの店があるといい」「交通網が発達してほしい」「大型ショッピングモールがほしい」「便利な都会もいいが、豊かな自然は残さなければならない」などの意見が出た。中学生が描く「将来像と夢」を「現実にする」気持ちを住民も一緒に持ち続けることが、地域の元気づくりにつながるのではないか。
県が実施した「山形いまどき若者アンケート」。16~40歳の572人が回答した(庄内からの回答者は14・3%)。約6割が「今住んでいる地域が好き」と答え、理由は「食のおいしさ、自然が豊か、日常生活が便利」など。現在住んでいる理由は「実家がある」が最多だが、「この地域が気に入ったから」という回答もある。「気に入った」という回答者に転勤者がいたら、山形の魅力を積極的に発信することで、U・Iターンの呼び込みにつながる。もちろん庄内も。
高校生が郷土の魅力を考える「若者『庄』学校ワークショップ」。県庄内総合支庁の事業で、郷土愛を育みながら地元の良い点を探し、若者の地元定着を目指す。「今まで自分たちの地域の良さを知らなかったのは、知ろうとしなかったからか」など、地域の魅力を知ることは庄内への定着の第一歩となる。
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遊佐町の中学生と高校生が直接選挙で選ぶ「少年町長」と「少年議員」。町は予算を出して少年議会が決めた公的施設などの整備を任せている。少年議会の自主的な活動をまちづくりに生かすことで、若者は自分たちの町に誇りを持つ。
櫛引地域の将来像を考える「どうする櫛引」という話し合いもあった。少子化が進んでも、いつまでも住み続けられる地域にするため、人と人のつながりを大事にし、子どもの頃に親しんだ遊びや地域の伝承行事を守りたい。地域を考えるさまざまな話し合いで共通するのは「手をこまねいていないで、とにかく行動しよう」。人口が減っても活力を維持する手だては、活発な意見の出し合いで必ず見つかるはずだ。