2024年(令和6年) 1月21日(日)付紙面より
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国指定重要文化財「旧西田川郡役所」の再開に向けた鶴岡市の致道博物館(酒井忠順館長)のクラウドファンディング(CF)が19日、目標額1000万円を達成した。20日午前10時現在の支援総額は1052万円(支援者253人)となっており、目標額を引き上げる「ネクストゴール」へ向け、今月31日まで支援を募っている。第1目標達成に酒井館長は「地元をはじめ全国各地から幅広い支援を頂き感謝しかありません」と話している。再開は4月下旬を予定する。
旧西田川郡役所は1881(明治14)年に創建された擬洋風建築の建物。現在の鶴岡商工会議所会館の場所にあったもので、1972(昭和47)年に同博物館敷地内に移築された。山形県沖地震で被害を受け、災害復旧の応急耐震補強・修理工事のため2021年6月から公開を中止していた。復旧工事は昨年5月まで続いた。
再開に向けた展示などに自己資金で少なくとも1500万円ほどが必要なため、先月からCFに挑戦。調達資金は、日本を代表するドールハウス作家の故・礒貝吉紀さんから寄贈された作品や極小雛(ひな)道具研究家・川内由美子さんから寄贈された欧州のアンティークミニチュア洋食器、庄内の歴史を伝える各種考古資料などの展示、被雷して壊れた建物上部の時計台にある大時計(直径90センチ、電気式)の修理に活用する。
今回のCFは設定した第1目標額に届かない場合は、支援金が手元に入らない「オールオアナッシング」方式で挑んでいる。全国からの応援メッセージとともに、100万円、50万円、30万円など高額の支援も寄せられており、酒井館長は「止まったままの大時計と旧西田川郡役所の展示が再始動するというテーマに、多くの方々から共感を頂いた。期待に応えられるよう再開の準備を進めたい」と話した。同博物館は来月から準備を本格化させる。