2024年(令和6年) 1月23日(火)付紙面より
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鶴岡市黒川地区で20、21の両日、春日神社の例祭「王祇祭」(2月1、2日)で振る舞われる凍(し)み豆腐料理の仕込み作業「豆腐焼き」が行われた。今年は下座のみの実施で、当屋の親類や近所の住民が協力し合い、豆腐をこんがりと焼き上げた。コロナ禍の影響で豆腐焼きが行われるのは4年ぶりという。
王祇祭では上座・下座の両当屋や春日神社で黒川能(国指定重要無形民俗文化財)が奉納上演される。凍み豆腐料理は各当屋で、幕あいなどに振る舞われる祭りの名物。今年の当屋は上座が難波玉記さん(81)=橋本、屋号・甚九郎、下座は遠藤重嗣さん(75)=宮の下、屋号・重左衛門。
このうち下座の遠藤さん方では、敷地内に特設した小屋に縦4メートル、横1・5メートルほどの、木枠とおからの土手で作った大きないろりが設けられた。20日は朝から地区民20人余が入れ替わりながら作業。まきが次々とくべられ燃え盛るいろりの土手を、串に刺した豆腐と地区民がずらりと囲んだ。
目の前の炎の熱さから顔を守る段ボールと竹ざおを手に、焼き加減を互いに指示し合いながら次々と焼き上げていた。ビールやお神酒を酌みながら「ほら、真ん中焼げっだ」「隣の2つ焼げっだ」「土手も焼げっだぞ」などと方言と笑い声が飛び交い、和気あいあいと久しぶりの伝統行事を楽しんでいた。2日間で約5000本の豆腐を焼くという。