2024年(令和6年) 1月26日(金)付紙面より
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酒田市の黒森地区に伝わる民俗芸能「黒森歌舞伎」(県指定民俗文化財)の正月公演(来月15、17日)を前に、「くろもりん押絵倶楽部」(佐藤久美子代表)による土産品「黒森歌舞伎押絵(おしえ)」の制作が追い込みに入っている。
黒森歌舞伎では、長く地区内で収穫したひょうたんに役者の隈(くま)取りを描いた「歌舞伎ひょうたん」を販売していたが、ひょうたん栽培者の減少や絵付け技術者の高齢化などから販売できなくなり、地区民による一座・妻堂連中がひょうたんに代わる土産物として押し絵を考案。制作の呼び掛けに応じた女性たちで組織する同倶楽部は2013年から制作しており、売り出し当初から完売が続く人気の土産物品となっている。
11作目となる今年の押し絵は、正月公演で上演される「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」の主役の一人、弁天小僧菊之助で、「知らざぁ言って聞かせやしょう」とたんかを切る名場面を表現している。市内在住のデザイナー・久松理子さんに毎年デザインを依頼。同倶楽部のメンバー4人で昨年11月ごろから制作に取り組んできた。
押し絵は型紙にスポンジを貼り、パーツごとに切り分けてちりめんで包む。出来上がったパーツをつなげて色紙に貼り付けるなど、一つ一つ手間のかかる作業を全て手作り。佐藤代表によると、弁天小僧のきせるを持つ指や腕の入れ墨部分の切れ込みなどが細かく大変な作業だが、こだわりを持って制作しているという。
佐藤代表は「押し絵を作る時期になると、歌舞伎の季節が来たと感じる。内陸や県外にも黒森歌舞伎のファンがおり、予約の問い合わせをくれるのがありがたい。見に来てくれた人たちの良い思い出になれば」と話していた。
押し絵は縦38・5センチ、横35・5センチで、色紙のみと専用額入りの限定計50枚を制作予定。額入り5000円、色紙のみ3800円で現在、予約を受け付けている。問い合わせなどは黒森コミュニティセンター=電0234(92)2255=へ。