2024年(令和6年) 1月27日(土)付紙面より
ツイート
酒田市の土門拳記念館で、市名誉市民で世界的写真家・故土門拳さんの「絵画」や「美術」をキーワードに作品を集めた企画展「絵画と巡る土門拳―生誕120年・棟方志功とともに」と、「土門拳賞コレクション 自然・動物写真の系譜」が同時に開かれ、土門さんが写した画家たちのポートレート、美術的な写真作品のほか、大自然を撮影した土門拳賞受賞者6人の作品などが並び、多くの来館者たちが作品の世界に引き込まれている。
土門さんは青年期まで画家を志しており生前、一番好きな画家はピカソだと発言していたという。今回は土門さんと親交が深く、昨年生誕120年を迎えた世界的版画家・故棟方志功のアトリエや作業風景を写した「棟方志功 板を彫る」「ジャングルのようなアトリエ内部」などの作品を中心に、土門さんの代表作「古寺巡礼」の中から、菩薩像や曼荼羅(まんだら)の絵画的な部分をクローズアップ撮影した作品など、計120点を紹介している。
土門さんと棟方さんが1956年に雑誌の企画で展開した、バレリーナや日本舞踊家など4人の女性モデルをモチーフに行った版画と写真の競作品は、同じモデルを前にした2人の感性や表現の違いを見比べることができる。
企画展示室1、2では1990―2021年に土門拳賞を受賞した大竹英洋さん、宮崎学さん、下瀬信雄さん、石川直樹さん、中村征夫さん、今森光彦さんの受賞作から、壮大な自然や野生動物の姿を捉えた作品計73点が並び、カナダの幻想的なオーロラが出現した夜空、フクロウの飛翔瞬間、オーストラリアに生息する希少なミツツボアリの姿などを紹介している。
24日は酒田市の浜中小学校(是谷あゆみ校長)の児童がスクールプログラムで訪れ、2、3年生19人が学芸員の解説を聞きながら作品を鑑賞した。児童たちは深海に生息するオオカミウオや巣穴の中で寄り添うフクロウのひなの写真を見て、「すごい」「どうやって撮ったんだろう」と、目を輝かせていた。両展示とも3月31日(日)まで。