2024年(令和6年) 1月28日(日)付紙面より
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「文化財防火デー」の26日、鶴岡市や酒田市の文化財施設で防火訓練が行われ、有事の際の対応を再確認した。
文化財防火デーは1949年1月26日に奈良県の法隆寺金堂の壁画が焼損したことを契機に、火災などの災害から文化財を守っていく教訓として文化庁と消防庁が55年に定めた。この日に合わせて全国的に文化財防火運動を展開し、貴重な文化財を未来に残していこうと防災意識を高めている。
【致道博物館】
鶴岡市の致道博物館での訓練は「田麦俣多層民家・旧渋谷家住宅(重要文化財)1階入り口土間付近から出火」の想定で行われ、学芸員ら職員6人が参加。走りながら大声で火事ぶれし、119番通報や避難誘導を行うとともに、旧鶴岡警察署庁舎(重要文化財)付近に設置されている消火栓にホースを接続し放水銃で放水するなど訓練に取り組んでいた。その後、鶴岡消防職員の指導の下、消火器訓練や取り扱い講習なども行った。想定防火訓練の対策本部長を務めた本間豊学芸部長は「非常時はいつ訪れるか分からないので、常に対応する気持ちで努めたい。未来に文化財を伝えるため、入館者の安全を守るため、今後も訓練に取り組んでいきたい」と話した。
【山王くらぶ】
国登録有形文化財「山王くらぶ」(酒田市日吉町二丁目)の訓練では、酒田消防職員3人が訪問。施設の指定管理を担うチアーズ(同市)の加藤明子社長ら施設職員、来月末からの「傘福展」スタートを前に布細工制作に取り組むNPO法人「かさふく」のメンバーなど計13人が参加し、「1階喫茶室に敷いてあるホットカーペットから出火」という想定で、消防訓練を展開した。
訓練は施設職員の「火事だ」という大きな火事ぶれの声で開始。職員間で声を掛け合いながら、2階で作業中のかさふくメンバーを施設外に避難誘導、備え付けの消火器を使った初期消火、119番通報を行い、緊急時の対応を確認した。酒田消防の佐藤良也予防課長は「文化財火災は消防と関係者、地域住民らが一体となって予防し、後世に受け継いでいけたら」と講評した。終了後、消防職員の指導で水消火器を使った初期消火訓練を実施。チアーズの加藤社長は「訓練は毎年行っているが、毎回緊張感がある。緊急時は外国や遠方からの観光客が不安にならないよう、迅速、安全に誘導できるよう心掛けたい」と話した。