2024年(令和6年) 1月30日(火)付紙面より
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デジタル変革(DX)人材・関連企業の集積を目指すプラットフォーム「やまがたDXコミュニティ」に参画する企業の担当者が講師となり、酒田市の東北公益文科大学(神田直弥学長)で昨年10月に開講したプロジェクト型応用演習「酒田市の地域課題についてITを使ってどう解決するか」。受講した学生による成果発表会が26日夜、学内で行われ、市総合計画後期計画(2023―27年度)に掲げる地域課題の中からそれぞれ選定したテーマの解決につながる、自ら構築したITツールを披露した。
「―コミュニティ」は、地元事業者のDX化、DX人材の育成支援によって生産性や競争力の向上を図るとともに、DXに対する地域の理解を深めることでIT事業者の新規顧客開拓にもつなげようと、酒田市と市産業振興まちづくりセンター・サンロク(センター長・安川智之副市長)が中心となって22年6月に設立された。
今回の演習は昨年10月6日に開講。2年生21人が参画企業の担当者らの指導で、新しい働き方、DXのトレンド、スキルの磨き方など学んだ後、同11月中旬以降、4、5人ずつ5チームに分かれ、市総合計画後期計画を読み込んで地域課題を選定。市や地元企業へのヒアリングなどフィールド調査した上で、同12月からは課題解決に向けたITツールの開発に着手した。
この日は指導に当たった企業の関係者が見守る中、チームごとに自ら選定した地域課題の解決に向けたアプリやマップをそれぞれ発表。コロナ禍の影響で大きく落ち込んだ外国人観光客を増やすため、ストレスなく目的地に行けるようスマートフォンで利用できる「多言語マップ」を開発したチームは、「経済効果と文化交流、地域活性化が期待できる」とその目的を述べ、「楽しんで酒田を観光してもらいたい。満足度向上を図り、SNSやブログなどでシェアすることで酒田の魅力が広く知れ渡ることになると思う」と報告した。
また、「酒田市の未来に向けて」をテーマに、市内の高校生・大学生約100人を対象としたアンケート調査を実施、酒田の魅力について楽しみながら知ることができるアプリ「酒田クイズ」を構築したチームは「調査の結果、市が行うさまざまな支援策を理解している若者が少ない。クイズを通して支援策・魅力を知ってもらい、『来たい、帰りたい、戻りたい』と思える酒田になれば」と紹介した。
学生たちの発表を聴講した矢口明子市長は、講評の中で「市総合計画を読み込んでもらい、市が一番やろうとしていることについて皆さんから知ってもらうことができた。皆さんが残りたいという街づくりを、情報共有を図りながら共に進めていきたい」と述べた。