2024年(令和6年) 2月1日(木)付紙面より
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世界かんがい施設遺産に登録されている庄内町の「北楯大堰」を開削した北館大学助利長公(1548―1625年)の功績を紹介する紙芝居を撮影した動画が県ホームページの動画チャンネルや動画投稿サイト「YouTube」で公開されている。
利長公は最上義光公配下の武将で1601(慶長6)年に狩川城主となった。水利が悪く荒廃がひどかった一帯を憂い、立谷沢川から取水する堰の開削を計画し、1612年に着工。およそ4年をかけた難工事の末、5000町歩もの田が潤い庄内農業の礎を築いた。北楯大堰は2018年に歴史的価値のある農業用水利施設を国際かんがい排水委員会が表彰・登録する同遺産に選ばれている。
紙芝居は庄内町狩川の風車村周辺で環境イベントなどを企画・運営する「風車村エコランド実行委員会」(柿崎寿一実行委員長)が北楯大堰に関するイベントを進める際、参加者に「庄内の大恩人」である利長公の業績を分かりやすく伝えようと文献などを参考に22年10月に制作、翌年5月の北舘神社例大祭で奉納上演したもの。
動画制作は県の農業農村整備事業を広くPRしようと21年から活動している広報チーム「庄内総合支庁農村計画課プロジェクトAチーム」が企画。エコランド実行委員会メンバーのインタビューと、同会メンバーが語りを務める紙芝居本編を計約16分の動画にまとめた。紙芝居では、荒れ狂う川のため工事が難航し「水ばか殿様」と陰口を言われながらも、大事業を成し遂げた利長公の業績を15枚のイラストで表現、同会メンバーが情感豊かに演じている。
同支庁農村計画課では「動画を通して県外など多くの人に北楯大堰や、堰にまつわるストーリーについて知ってもらえれば」としている。今後はインバウンド向けに語りを英語にした動画も制作予定という。