2024年11月27日 水曜日

文字サイズ変更



  • プリント用表示
  • 通常画面表示

荘内日報ニュース


日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ
  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る

2024年(令和6年) 2月3日(土)付紙面より

ツイート

幽玄の世界 県内外のファン魅了 鶴岡「黒川能」夜を徹し上・下座で上演

 鶴岡市黒川地区で受け継がれている「黒川能」(国指定重要無形民俗文化財)の最大の神事「王祇祭」が1、2の両日、地区の鎮守・春日神社などで行われた。神の依(よ)り代を下ろした上、下の当屋では500年以上の歴史を持つ黒川能が真夜中まで演じられ、地元のほか全国各地から訪れた観客を神事能の幽玄な世界にいざなった。

 王祇祭は春日神社の旧正月の神事で、同神社から神の依り代「王祇様」を上、下両座の当屋に移し、それぞれ1日夕から2日未明まで能楽で供応する。今年の当屋頭人は上座が難波玉記さん(81)=屋号・甚九郎、橋本、下座が遠藤重嗣さん(75)=屋号・重左衛門、宮の下=が務め、上座が黒川上区公民館、下座が遠藤さんの自宅で行われた。当屋の自宅に能舞台を備えるのは近年では珍しく、黒川能保存会が受け付けた観覧募集でも下座での観覧を希望する人が多かったという。

 下座の遠藤さん方では、座敷などのふすまを外して能舞台と観覧席を設け、約80人が集まり、1日午後6時ごろから演能が始まった。黒川能独特の演目で地区の幼年の男児が演じる「大地踏」を秋山櫂璃(かいり)君(6)が務め、儀式能「式三番」に続いて、能の「大社(おおやしろ)」「箙(えびら)」「大瓶猩々(たいへいしょうじょう)」「弓八幡」、狂言の「禰宜山伏」「千鳥」「節分」が翌日午前0時半ごろまで繰り広げられた。会場には当屋の親類や地区住民をはじめ、外国人や県外の黒川能ファンが訪れ、ろうそくがともる中、連綿と受け継がれてきた神事能の世界を堪能した。江戸時代後半に下座の能役者から指導を受けたと伝わる、新潟県村上市の「大須戸能」(新潟県指定無形文化財)の役者・中山忍さん(52)は「当屋の自宅で黒川能を鑑賞するのは久しぶり。子どもや女性たちも活躍する王祇祭の神事能に触れ、黒川地区のすごさを改めて知った」と話し、食い入るように演能に見入っていた。

 2日は春日神社で、上座の能「難波」、下座の能「大社」、両座立ち会いの「大地踏」などが奉納上演された。

「王祇様」を遠藤さんの自宅に迎えて翌日未明にかけ上演された下座の黒川能=1日夜、能「大社」
「王祇様」を遠藤さんの自宅に迎えて翌日未明にかけ上演された下座の黒川能=1日夜、能「大社」

下座で「大地踏」の大役を務めた秋山君。見事な口上と所作、謡に拍手が送られた
下座で「大地踏」の大役を務めた秋山君。見事な口上と所作、謡に拍手が送られた



日付の新しい記事へページを移動する日付の古い記事へ

記事の検索

■ 発行月による検索
年  月 

※年・月を指定し移動ボタンをクリックしてください。
※2005年4月分より検索可能です。

  ■ キーワードによる検索
   

※お探しのキーワードを入力し「検索」ボタンをクリックしてください。
※複数のキーワードを指定する場合は半角スペースを空けてください。

  • ニューストップ
  • 最新記事
  • 戻る
ページの先頭へ

ニッポー広場メニュー
お口の健康そこが知りたい
気になるお口の健康について、歯科医の先生方が分かりやすく解説します
鶴岡・致道博物館 記念特別展 徳川四天王筆頭 酒井忠次
酒井家庄内入部400年を記念し、徳川家康の重臣として活躍した酒井家初代・忠次公の逸話を交え事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第2部 中興の祖 酒井忠徳と庄内藩校致道館
酒井家庄内入部400年を記念し、庄内藩中興の祖と称された酒井家9代・忠徳公の業績と生涯をたどる。
致道博物館 記念特別展 第3部 民衆のチカラ 三方領知替え阻止運動
江戸幕府が3大名に命じた転封令。幕命撤回に至る、庄内全域で巻き起こった阻止運動をたどる。
致道博物館 記念特別展 第4部 藩祖 酒井 忠勝
酒井家3代で初代藩主として、庄内と酒井家400年の基盤を整えた忠勝公の事績をたどる。
致道博物館 記念特別展 第5部 「酒井家の明治維新 戊辰戦争と松ケ岡開墾」
幕末~明治・大正の激動期の庄内藩と明治維新後も鶴岡に住み続けた酒井家の事績をたどる。
酒井家庄内入部400年
酒井家が藩主として庄内に入部し400年を迎えます。東北公益文科大学の門松秀樹さんがその歴史を紹介します。
続教育の本質
教育現場に身を置く筆者による提言の続編です。
教育の本質
子どもたちを取り巻く環境は日々変化しています。長らく教育現場に身を置く筆者が教育をテーマに提言しています。
柏戸の真実
鶴岡市櫛引地域出身の大相撲の元横綱・柏戸の土俵人生に迫ります。本人の歩み、努力を温かく見守った家族・親族や関係者の視点も多く交えて振り返ります。
藤沢周平の魅力 海坂かわら版
藤沢周平作品の魅力を研究者などの視点から紹介しています
郷土の先人・先覚
世界あるいは全国で活躍し、各分野で礎を築いた庄内出身の先人・先覚たちを紹介しています
美食同元
旬の食べ物を使った、おいしくて簡単、栄養満点の食事のポイントを学んでいきましょう
庄内海の幸山の幸
庄内の「うまいもの」を関係者のお話などを交えながら解説しています

株式会社 荘内日報社   本社:〒997-0035 山形県鶴岡市馬場町8-29  (私書箱専用〒997-8691) TEL 0235-22-1480
System construction by S-Field