2024年(令和6年) 2月6日(火)付紙面より
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酒田市黒森地区に江戸時代から伝わる農民芸能「黒森歌舞伎」(県指定無形民俗文化財)の正月公演(15、17日)を前に、酒田観光物産協会(西村修会長)は、黒森歌舞伎のお膝元にある3蔵元による純米酒セット「黒森歌舞伎隈取(くまどり)三銘酒」をラインアップに加え、運営する山居倉庫酒田夢の倶楽(山居町一丁目)で販売を開始した。いずれも隈取をあしらったオリジナルラベルを使用、売り上げの一部は黒森歌舞伎一座「妻堂連中」(五十嵐良弥座長)に寄付する。
黒森をはじめ同市川南地区は豊富な地下水と、肥沃(ひよく)な土で育った良質米を活用し、以前から酒造りが盛ん。現在は清酒「初孫」の東北銘醸、同「三十六人衆」の菊勇、同「清泉川」のオードヴィ庄内の3蔵元が立ち並ぶ。
夢の倶楽では、市内蔵元が醸す日本酒を飲み比べて堪能してもらおうと、2004年のオープン時から7種、3種のオリジナルセットを販売しており、多くの観光客が買い求める人気商品となっている。今回は妻堂連中の活動を支援しようと、▽初孫「魔斬」生酛純米本辛口▽菊勇「出羽の里三十六人衆」▽清泉川「純米つや姫様」―をセットにし、「隈取三銘酒」として販売することにした。
上箱には、黒森日枝神社演舞場に掲げられている塞道(さいどう)絵幕「俵藤太」と、黒森小児童による少年歌舞伎の写真を採用。ラベルに使用した隈取をまとった役者の写真とともに、長年にわたって黒森歌舞伎を撮影し続け、県齋藤茂吉文化賞、市制定「土門拳文化賞」奨励賞など受けている松本鶴子さん(同市)が担当した。
企画展「黒森歌舞伎の一年―太夫振舞から正月公演まで」開催中の酒田夢の倶楽・華の館で3日に行われたお披露目会では、大勢の観光客らが見守る中、五十嵐座長が「見てよし、飲んでよし、酔ってよし。歌舞伎座で見ると3万円、黒森に来れば無料。一日楽しめるのでぜひ正月公演に足を運んで」とあいさつ。役者が今年の演目「青砥稿彩画花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」のうち、白浪五人男が名乗りを上げる「稲瀬川勢揃いの場」の一場面を演じ、大きな拍手と歓声を受けた。
「三銘酒」は300ミリリットル入り3本セットで3000円(税込み)。夢の倶楽で通年販売するほか、2月の正月公演、3月の酒田公演にそれぞれ合わせて黒森日枝神社、希望ホールでも扱うという。
問い合わせなどは酒田夢の倶楽=電0234(22)1223=へ。