2024年(令和6年) 2月9日(金)付紙面より
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鶴岡市の大山小学校(生田弥恵校長)と大山いざや巻保存会(井上俊男会長)が大山地区に伝わる伝統芸能「いざや巻」を子どもたちに伝えている。今年も3年生53人を対象に保存会の井上会長やメンバーが学校を訪れ、踊り方を教えた。
「いざや巻」は約500年の歴史を持つ。戦(いくさ)の出陣の際、「いざ」「やー」と兵士の士気を高めるために踊ったのが始まりとされる。演目の「尾浦八景」には「高館山の紅葉」や「大平山の山桜」「専念寺の晩鐘」など大山を象徴する歌詞が盛り込まれている。同校と保存会では地域の伝統を守ろうと例年、3年生の子どもたちに踊り方のほか「唄い方」と「拍子木の打ち方」を伝承している。
今年の伝承活動は先月下旬に始まった。井上会長(77)やメンバーの一人で日本舞踊の佐藤たみ子さん(81)らが学校を訪問。最終日となった6日は「踊り方」「唄い方」「拍子木」の3班が総仕上げの合わせけい古を行った。
子どもたちは「あの鐘の音は専念寺♪」「積もる思いは高館の♪」―と唄い方と拍子木に合わせて扇子をかざして踊った。踊り班の田中文乃さんは「少し難しいけど楽しい。もっと練習してスムーズに踊れるようになりたい」と興味津々。保存会で毎週土曜日に大山コミセンで行っている定例の練習会に参加することを決めた。
井上会長は「私たちの願いは地域の伝統芸能を守り伝えていくこと。少子化が顕著になっているが、子どもたちに関心をもってもらえるだけでもうれしい」と話した。