2024年(令和6年) 2月22日(木)付紙面より
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今年4月に修学旅行で沖縄県を訪れる鶴岡市の羽黒中学校(高山久校長、生徒190人)の2年生が20日、昨春から学んできた沖縄の歴史や平和を題材にした創作劇を発表した。太平洋戦争末期に日本で唯一地上戦が行われた沖縄で、ガマ(自然洞窟)で集団自決する人たちや、若い命を散らした学徒隊の姿を演技と朗読で表現し、平和を望む強い気持ちを示した。
同校の2年生は昨年5月から総合学習の一環として沖縄の歴史や文化を調べ、レポートにまとめて発表するなど理解を深めてきた。3年生になってすぐに修学旅行で沖縄へ向かう前に、学びの集大成として2年生62人全員が得意とする合唱や朗読を用いて創作劇を発表することになり、練習に取り組んできた。
発表会は保護者や高山校長などが見学。初めに修学旅行実行委員長の丸山紗和さん(14)が「沖縄学習の集大成を何とか形にして残したいという思いで、朗読劇と合唱を企画した。目を背けてはいけない沖縄戦の歴史と、平和な世界を私たち一人一人がつくっていくという思いを込めた」と趣旨を説明した。
住民を巻き込んだ沖縄の地上戦で軍司令部が下した無謀無策な決断や、圧倒的武力で攻めてくる米軍を前にガマの中で集団自決する家族の様子、米軍の包囲網の中で突然解散命令を出され、なすすべもなく若い命を散らしたひめゆり学徒隊の慟哭(どうこく)など、3つの場面を中心に劇が展開された。
また、2年生全員が代わる代わる場面状況や住民たちの怒り、悲しみを読み上げ、劇の最後に「命の大切さと平和を目指す熱い思いを持ち続け、二度と戦争の起こらない世界を私たちがつくっていく」と述べ、2000年の九州・沖縄サミットで紹介された「HEIWAの鐘」を合唱した。
保護者たちは生徒たちの堂々とした演技や朗読に大きな拍手を送っていた。