2024年(令和6年) 3月2日(土)付紙面より
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洋上風力発電事業で国による「促進区域」に指定され、参入を希望する発電事業者の募集が始まっている遊佐町沖での事業導入に向けた影響や課題について具体的な議論を行う「遊佐沿岸域検討部会」(部会長・三木潤一東北公益文科大公益学部長、委員27人)が29日、遊佐町吹浦の「遊楽里」で開かれた。県の担当者が事業の進捗(しんちょく)状況を説明。運転開始は最も早い場合、6年後の2030年になるとした。
「共存共栄できる事業者を」 地元住民・漁業者と意見交換
ウェブ参加や傍聴者らを含め約50人が出席。県環境エネルギー部の荒木泰子次長が「遊佐町沖の事業は地元の意見に基づいて進められているとして全国的に注目されている。県は推進体制を強化し、より皆さんと一緒になって取り組んでいく」とあいさつした。
県の担当者が▽発電事業者の公募は今年1月19日開始、7月19日締め切り▽今年12月ごろ公募結果を公表▽利用(基地)港湾は酒田港▽運転開始時期は最速で約6年後―などと説明。
意見交換では住民代表が今年元日に発生した能登半島地震を踏まえ「風車建設予定地近くにある海底断層を震源とする地震が発生した場合、風車など施設の安全性が担保されるか」と質問。資源エネルギー庁の西尾文吾・新エネルギー課長補佐は、諸外国の基準に比べても厳しいという「500年に1度の地震、50年に1度の台風でも安全な施設にしてもらう」と述べ、能登半島地震の影響に直接は触れなかった。
漁業者代表からは、風車が倒壊する事故が起きていて「下で操業する立場の我々は非常に危惧している」「事業想定海域で実際に向き合う私たちなど地元と共存共栄できる事業者を選定してほしい」などの声が上がった。荒木次長は「本日の意見や助言をしっかりと受け止め、国や遊佐町と一緒になって事業を進めていく」と述べた。次回の部会は年末に開催する予定で、国が選定した発電事業者が報告される。