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2024年(令和6年) 3月5日(火)付紙面より

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立ち回りや大見得役者たちファン魅了 黒森歌舞伎・酒田公演

 酒田市黒森地区に伝わる農民芸能・黒森歌舞伎(県指定無形民俗文化財)の酒田公演が3日、同市の希望ホールで開かれた。先月の正月公演と同じく黒森小児童による少年歌舞伎「菅原伝授手習鑑(すがわらでんじゅてならいかがみ)」のうち「車引の場」、本狂言「青砥稿花紅彩画(あおとぞうしはなのにしきえ)」の2幕3場面を上演、集まった歌舞伎ファンを魅了した。

 黒森歌舞伎は江戸・享保年間(1716―35年)から受け継がれている農民芸能で、同地区の黒森日枝神社境内で毎年2月15、17の両日に奉納上演されている。酒田公演は、多くの市民から地元の伝統芸能を楽しんでもらおうと、黒森歌舞伎保存会(菅井儀一会長)と市が1956年から毎年3月の第1日曜日に開催している。

 この日は同校児童による少年太鼓と少年歌舞伎で幕開け。本狂言は日本駄右衛門と弁天小僧菊之助、忠信利平、赤星十三郎、南郷力丸の盗賊五人組「白浪五人男」の活躍を描いたおなじみの作品。弁天小僧の「知らざあ言って聞かせやしょう」のせりふで有名な「浜松屋の場」、親子の再会と再びの別れをつづった「奥座敷の場」、五人がそろって名乗りを上げる「稲瀬川勢揃いの場」の2幕3場面を上演。立ち回りや、大見得では観客から拍手が湧き起こり、掛け声が飛び交った。

 一座「妻堂連中」の五十嵐良弥座長は終演後、「地区にとってこの芝居は誇りで、どのように次世代に伝えていくか考えている。多くの皆さんから鑑賞してもらい、もっと頑張らなくてはと思った。来年もぜひ足を運んでほしい」と話した。10日(日)には黒森日枝神社で太夫振舞(たゆうぶるまい)が行われ、若手役者による「神饌(しんせん)の儀」で来年2月に行われる正月公演の演目を決める。

 一方、支援活動を展開する黒森歌舞伎保存会は新規会員を募集している。主な活動は座員や全国の地芝居団体との交流など。会費は個人が1口1000円、法人が同5000円。申し込みや問い合わせは市文化政策課=電0234(24)2994=へ。

大勢の市民らを魅了した黒森歌舞伎の酒田公演=3日、希望ホール
大勢の市民らを魅了した黒森歌舞伎の酒田公演=3日、希望ホール



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