2024年(令和6年) 3月6日(水)付紙面より
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君子学んで以(もっ)て其(そ)の道を致す―。鶴岡市の庄内藩校致道館で2日、同市の三瀬保育園(本間日出子園長)の年長児による「庄内論語」の素読が行われ、スーツや振り袖姿の園児たちが保護者を前に1年間練習を重ねてきた成果を元気に披露した。
同保育園では8年前から年長児が毎月1回、致道館を訪れ、同館統括文化財保護指導員の富樫恒文さん(76)の指導を受け、論語の素読を体験している。本年度の年長児14人も4月の桜の時期から毎月足を運び素読を繰り返し学んできた。
この日は卒園式を前に、保護者へ1年間の頑張りの発表の場として最後の素読を行った。藩主が入る「御入間(おいりのま)」で、富樫さんの後に続いてみんなで声をそろえて20章の素読を披露した。見守った保護者から拍手が送られ、本間園長は「1年間、とても素晴らしい場所で良い時間を過ごすことができた。みんな頑張ったね」とお褒めの言葉を贈った。
富樫さんは「難しい言葉があっても何度も声を出して読んで、頭ではなく体で覚えた皆さんは立派です。きっと心にも残ったはずです。致道館で学んだことを大切にして小学校に入学してからも頑張って」と園児たちに語り掛け、致道館名の修了証を手渡した。相庭大陽(たいよう)君(6)は「大変だったけど楽しかった」と話し、父親の裕真さん(36)は「大人でも難しい言葉が多いのに、本当によく頑張ったと思う」とわが子の成長を実感していた。