2024年(令和6年) 3月6日(水)付紙面より
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鶴岡市出身の作家・藤沢周平(1927~97年)の直木賞受賞作「暗殺の年輪」を俳優が読み上げ、聴衆が藤沢世界に浸る朗読会が3日、同市の荘内神社参集殿で行われた。県内外から約200人の藤沢ファンが足を運び、海坂藩の風景を思い浮かべながら朗読に耳を傾けた。
市立藤沢周平記念館主催。同館で開催中の「直木賞受賞50周年記念展『藤沢周平と直木賞』」関連のイベントとして実施した。デビュー作「溟(くら)い海」をはじめ3作が直木賞候補となり、4回目の候補でついに直木賞を受賞したのが「暗殺の年輪」。親子二代にわたり暗殺という無情な役目を引き受けざるを得なかった、下級武士の悲哀を描いたストーリーで、庄内藩をモデルにした架空の藩「海坂藩」が初めて登場した作品でもある。
朗読を担当したのは俳優の篠田三郎さん(75)。篠田さんは藤沢周平原作の映画や時代劇に出演している。藤沢周平記念館関連のイベントでは2011年から朗読を務めており、今回で4回目。
篠田さんが読み上げる海坂藩の情景や、主人公・葛西馨之介の心情などに聴衆は耳を傾け、時折目を閉じて朗読に聞き入り、海坂藩に思いをはせていた。