2024年(令和6年) 3月9日(土)付紙面より
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資生堂(東京)は6日、鶴岡市のサイエンスパークにある市先端研究産業支援センター内に研究活動の拠点とする「資生堂ファームラボ」を開設し、同センターでオープンセレモニーを行った。同パークにある慶應義塾大先端生命科学研究所を起点に多くのベンチャー企業が誕生していることを踏まえ、「鶴岡にはゼロから何かをつくりだす風土と土壌がある」と捉え、同社の研究開発をけん引する次世代リーダー育成の拠点として活用する。
資生堂は前慶應先端研所長で一般社団法人鶴岡サイエンスパークの冨田勝代表理事とアドバイザリー契約を結んで研究員への助言・指導を受けているほか、2022年6月には慶應先端研との間で、イノベーション創出や人材育成に関する包括連携協定を締結。若手研究者2人を派遣し、同センターの一室に入居した。
内装や設備を整えて開設されたファームラボ(広さ約70平方メートル)は、既存の考え方に縛られずに自由に研究活動を行うという「放牧」のコンセプトで、牧場をイメージした内装を採用。センター内に入居する多様な研究機関やバイオベンチャー企業の関係者との交流を深める考え。
派遣されている研究員2人が、引き続き腸内細菌や漢方に関する研究を進めるほか、横浜市にある研究開発拠点の研究者たちの研修の場としても活用する。研究者から、「普通はゼロ点」「脱優等生」といった“冨田イズム”を体感してもらうことで、資生堂の企業文化とは異なる文化に触れ、イノベーション創出に求められる「ゼロから何かをつくる」土壌に浸ってもらう。
セレモニーには、先端研や先端研発ベンチャー各社、地元企業などの関係者約50人が出席。資生堂の佐藤潔みらい研究グループマネジャーは「道のないところを進むといった感じで、鶴岡の地には何かがある。このラボを拠点にさまざまな関係者と交流することで、資生堂にさらなるイノベーションを生み出す人材を育てたい」と語った。