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2024年(令和6年) 3月13日(水)付紙面より

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果たして実効性は期待できるか

 派閥の政治資金パーティー裏金事件を受け、自民党の政治刷新本部は党則・規約・ガバナンス・コード(党運営の指針)の改正案を了承、17日の党大会で正式決定する予定という。しかし改正案を見れば再発の抑止策にはなるとしても、解釈次第では抜け穴が残されているのではないかと思える。また、党は裏金事件に関係した議員を党大会後に処分する方針という。

 裏金問題を巡っては派閥幹部の衆院の政治倫理審査会での弁明に続き、参院でも予定されている。野党は32人に説明を求めているが、議員本人の「申し出」が出席の条件とされ、誰が弁明するか定まっていない。議員が説明責任を果たすと言いながら、その本気度が見えてこない。

     ◇       ◇

 党則改正案の要旨は▽政治団体の会計責任者が政治資金規正法違反で逮捕・起訴された場合、団体の代表の議員に「離党勧告」「党員資格停止」などの処分ができる規定を新設▽会計責任者の有罪判決が確定した場合は「除名」か「離党勧告」の処分を科せる―と明文化した。現在の党則・規約には会計責任者が逮捕・起訴されても議員本人が処分される規定はない。現行より一歩踏み込んだ内容と言える。

 「派閥」について、資金力と人事への影響力を背景に国会議員の数を増やし、数の力で影響力を高めようとする組織を「派閥」と規定、旧来の派閥存続と新設を禁止した。違反が明らかになれば、活動休止や解散を求めるという。しかし「存続・新設・休止や解散」を“お願いする”程度にとどまるともとれるような、曖昧な表現ではないだろうか。実効性が疑問視される。

 一方、代替的な位置付けとして「政策集団」は認めるという。政策のための勉強会・研さんを積むとする集まりということになる。ただ「派閥」と「政策集団」ではどう違うのか、政策集団のトップが、人事で首相と水面下で交渉することは可能とすることで、これまでの「派閥の数の力」を生き残らせる道を残したことになる。党則改正案は、国民感情からすれば「生煮え」に映るのではないか。

     ◇       ◇

 党則改正案は、現行より一歩踏み込んだことは確かだ。離党勧告や党員資格停止などの処分は、次の選挙で公認されないという大きなハンディになる。「秘書が」「事務局長が」などと、責任逃れの言い訳は通用しなくなり、政治生命に関わることだから、不正抑止の効果につながる。

 国民の信頼を裏切る裏金事件は、議員として良心に恥じなければならないことだ。岸田文雄首相は再発防止に向け、議員も責任を負う連座制導入を視野に入れた発言をしている。今後の焦点となるが、「連座制」導入を議員側から発議するぐらいの意気込みがあってこそ、国民の信頼をにつながるのではないだろうか。

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