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2024年(令和6年) 3月14日(木)付紙面より

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除雪体制岐路に 少雪傾向で出動激減 高齢化・人手不足重なり 業界困惑

 庄内で除雪作業が岐路に立たされている。オペレーターの高齢化や人手不足に気候変動による少雪傾向が重なるなど課題が山積。今冬、平野部で除雪車が出動したのはわずかで、行政から委託を受けている建設会社の社長は「温暖化が進む中、先行きが不安。今後、除雪体制の在り方をどうするか。これまで通りに―とはいかない」と指摘する。

 鶴岡市除雪対策本部によると、除雪対象道路の延長は1137・8キロ。業者85社(除雪車計306台)と委託契約し、冬の生活道を守っている。今シーズンは暖冬で例年より除雪費はかなり抑えられる見通しだ。市民にとっては雪かきをしなくていい「楽な冬」となったが、オペレーターには生活に関わる問題。建設会社の正社員ならまだしも冬期間雇用の運転手や助手は「仕事にならない」「稼げない」という日が続いた。

 鶴岡市南部の除雪を受け持つ誠朋建設(上野岩雄社長、鶴岡市伊勢原町)によると、例年30数人態勢で除雪を行っているが、今冬の出動は8回だけ。助手を除くオペレーターは、すべて会社側が免許取得費用を負担した社員で賄っているものの昨今の人手不足を考えた場合、数年後の体制は見通せないという。

 上野社長は「新年度から残業の上限が月45時間、年360時間となる『2024年問題』が建設業界にも適用される。除雪作業は『特別条項』となるが、限られた人員でどうやり繰りするか。働き方改革は待ったなしで進めていかなければならない」と話す。

 国道や市道の除雪を担う浅賀建設(浅賀隆社長、鶴岡市大半田)ではオペレーターの半数以上を季節雇用で賄う。運転手を育てるため、数年前から女性社員に大型特殊と車両系の免許を会社側が負担して取得させている。

 浅賀社長は「弊社のオペーレーターの平均年齢は50代後半。運転手を確保して冬の市民生活を守らなければならない。雪が降らなくても最低保証はお支払いしているが、除雪の仕事を頑張ってくれている運転手にとって稼げない状況が続いては雇用している側にとっても心苦しい。温暖化対策は建設業界と行政が団結して取り組むべき問題」と語る。

 こうした中で県建設業協会鶴岡支部(支部長・五十嵐久廣鶴岡建設社長)は先月20日、県庄内総合支庁の村山朋也支庁長と鶴岡市の皆川治市長に「少雪時における除雪委託の要望書」を提出した。要望書には▽待機補償の充実▽除雪車リースに伴う修繕費や車両保険負担の見直し―を求めている。五十嵐支部長は「除雪体制の抜本的な見直しが必要。委託を受けている業者の間では冬期雇用している作業員の確保と賃金をはじめ、1回でも出動すれば発生する除雪車の整備料などが経営に大きな支障を来している」と業界全体の実情を伝えた。

 少雪傾向の反面、温暖化で日本海の海水温が高くなった状態で寒気が入ると水蒸気が多く発生し「ドカ雪」になる頻度が増すという予測もある。昨年12月18日は鶴岡市内で一晩の間に34センチ積もり、除雪車がフル稼働した。暖冬対策と並行して「ドカ雪対策」も視野に入れなければならない。さらに暖冬は除雪作業を担う建設業者だけでなく、路肩や歩道、駐車場の排雪を積んで雪捨て場に運ぶダンプカー業界も大きな影響を受けた。今後の除雪体制をどう見直し再構築を図っていくか。業界全体でクローズアップされている。

3月に入り雪が積もった鶴岡市内の国道で作業に当たる除雪車=3日
3月に入り雪が積もった鶴岡市内の国道で作業に当たる除雪車=3日



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