2024年(令和6年) 3月26日(火)付紙面より
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ともに無所属の新人で前町議による一騎打ちとなった遊佐町長選は24日投票が行われ、即日開票の結果、松永裕美氏(57)=遊佐、自営業=が齋藤武氏(49)=白井新田、行政書士=を1396票差で破り初当選を果たした。同町では初の女性町長。当日有権者数は1万966人(男5222人、女5744人)。投票率は選挙戦となった2013年を4・76ポイント上回る69・87%。11年ぶりの町長選とあって関心の高さを裏付けた。
時田博機前町長の死去に伴う町長選。松永氏は「時田町政の継続」を前面に打ち出し、これからも「オール遊佐で」と訴え幅広く浸透した。陣営は時田前町長の「弔い合戦」と位置付け、時田後援会を中心に吉村美栄子知事はじめ非自民系の参院議員や県議らの支援を受けて活発に運動を展開。親しみやすい人柄を紹介し母親の介護体験を語るなど有権者の感情を揺さぶる作戦も奏功し、全体の6割近い票を得て完勝した。
移住者で農業者でもある齋藤氏は、農地や農機具などを「居抜き」で提供することで新規就農者を増やすといった具体的施策を挙げて「新しい町づくり」を訴えたものの、小中学生の給食無償化や高齢者ら交通弱者を考慮したバス運行などの政策は2氏とも掲げたため争点とならなかった。結果的に11年前、町長選に挑んだ際の得票に400票余りしか上積みできず、涙をのんだ。
市街地南部に設けた松永氏の選挙事務所には、開票が始まる午後8時前から支持者ら50人余りが詰め掛けた。同8時50分過ぎ、開票所の関係者から「当選」の一報が入ると大きな歓声と拍手が湧き上がった。
松永氏は「時田前町長が頑張ってきた土台を基に、松永が頑張ってくれないかという問い掛けに悩む毎日だった。郷土愛、遊佐魂で一つになった結果が4489という数字。だが町を二つに分断してはいけない。相手陣営やその仲間にも敬意を払い、議員仲間や町職員、町民一人一人の思いとともに歩んでいく」と抱負を述べた。初孫の紬ちゃん(7カ月)を抱いた長女の十文字理紗さん(26)からお祝いの花束を受け取り、ようやく表情がほころんだ。
同日程で行われた町議補欠選(欠員2)は、ともに新人で農業の伊原ひとみ氏(58)=比子、会社員の遊佐亮太氏(39)=吉出=が当選した。
松永 裕美(まつなが ゆみ) 57 無新
▽略歴=青山学院女子短大国文学科卒。遊佐町生まれ。東京都の民間企業に就職後、母親の介護のために帰郷。集落支援員、民生・児童委員などを経て2015年、遊佐町議初当選。総務厚生常任委員長など歴任。町長選出馬のため先月26日付で町議辞職。防災士、保護司。当1
遊佐町長選開票結果(選管確定敬称略)
当4,489 松永 裕美 57 無・新
3,093 齋藤 武 49 無・新
町議補選当選者
(敬称略、1職業2最終学歴3経歴)
伊原(いはら)ひとみ 58 無新
1農業2酒田西高3西遊佐小PTA副会長、道の駅ひまわりの会会長。町農委会長代理。当1
遊佐 亮太(ゆさ りょうた) 39 無新
1会社員2早稲田大教育学部3さいたま市出身。昨年3月、家族5人で遊佐町に移住。当1
◇開票結果(選管確定)
当3647 伊原ひとみ 無新
当2335 遊佐 亮太 無新
1510 常田 俊哉 無新