2024年(令和6年) 4月2日(火)付紙面より
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土門拳記念館(酒田市飯森山)の開館40周年記念事業の一環で市が企画した、市名誉市民第1号で世界的写真家の故土門拳さん(1909―90年)の生い立ち・業績など紹介する伝記漫画「リアリズム写真の巨匠 鬼の眼 土門拳」がこのほど完成し、5日(金)から同記念館ミュージアムショップやオンラインなどで順次、販売を開始する。
リアリズムにこだわった報道写真、日本の伝統文化を独特の視点で切り取った作品を撮り続けた土門さんは名誉市民に推挙された1974年、「作品を古里に贈りたい」という意向を示し、これに応え市は83年10月、日本初の写真専門、世界でも類を見ない個人写真家の美術館・土門拳記念館(旧市写真展示館)を整備。以来、土門さんの代表作を中心とした展覧会、音楽家を招いてのミュージアムコンサート、プロ写真家によるギャラリートークなど開催し、文化発信拠点としての役割を担っている。現在は「さかた文化財団」(同市、村上幸太郎理事長)が運営。昨年10月に開館40周年の節目を迎え、祝賀会やトークイベントなど記念事業が行われた。
「漫画化」は、B&G財団(東京都)による「ふるさとゆかりの偉人マンガの製作と活用事業」の採択を受け、市が土門さんの偉業を後世に残そうと企画。市や市教育委員会、文化財団関係者で組織する製作活用検討委員会(委員長・村上理事長)が、委員の一人で鶴岡市史編纂委員を務める阿部博行さん(同市)の著書「土門拳 生涯とその時代」を基にストーリーを練り、東北芸術工科大学出身で中央で活躍する山形市在住の漫画家・高橋美緒さんが作画を担当した。
B6判、123ページ。巻末に土門拳記念館の紹介、土門さんの年譜を掲載している。2000部発行。1冊1000円(税込み)で、記念館ミュージアムショップ、オンラインで取り扱うほか、市内書店にも並ぶ予定。市内の小中高校、特別支援学校、大学、コミュニティセンターなどに配布するほか、「漫画化の一番の目的は土門さんの偉業を多くの人、特に子どもたちから知ってもらうこと」(土門拳記念館事務局)と、同記念館ホームページ=http://www.domonken-kinenkan.jp/=に全ページ掲載、パソコンやスマートフォン、タブレット端末を使って無料閲覧できるようにする。伝記漫画に関する問い合わせは土門拳記念館=電0234(31)0028=へ。