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2024年(令和6年) 5月2日(木)付紙面より

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白甕社隆盛を支えた人々紹介 鶴岡市大寶館」企画展「庄内美術の粋・100年の歩み」

 鶴岡市馬場町の大寶館で第47期企画展「庄内美術の粋~白甕社(はくおうしゃ)100年の歩み~」が開かれている。今年で創立100周年となる庄内の美術団体「白甕社」について、地方美術の振興のため団体の創設に奔走した中核メンバーをはじめ、会の隆盛を支えた美術家たち、白甕社創設以前に優れた美術教育を庄内の地に施した先人たちをパネルで紹介している。

 展示パネルは「小貫博堂と俊英たち」「白甕社の誕生」「白甕社を彩った美術家たち」の3種に分かれており、このうち「白甕社の誕生」は1924(大正13)年に旧制鶴岡中学校(後の鶴岡南高校、現致道館高校)に在学していた野坂是勇氏(1907―82年)や齋藤求氏(1907―2003年)、白虹社(はっこうしゃ)(後の白甕社)初代会長の新穂源治郎氏(1889―1925年)を紹介している。

 絵画の研究と地方美術の啓もうを目的に、野坂氏が齋藤氏など美術愛好の同志に呼び掛けて立ち上げた団体が白虹社で、後に野坂氏は実父から「中国故事で白虹は不吉の兆しで、会の名称としては縁起が悪い」と教えられたことから白甕社に改称したという。

 また、「白甕社を彩った美術家たち」は、旧羽黒町出身で白甕社委員長を長く務めた今井繁三郎氏(1910―2002年)や日本画の普及・発展に尽力した伊藤喜久井氏(1911―2002年)などを紹介。特に今井氏は中央画壇との太いパイプを持ち、第24回白甕社展で当時の著名画家たちの作品を特別陳列するなど、物的・人的交流を通して地方へ中央の風を招き入れた。これにより庄内の作家たちの奮起を図ったとされる。

 「小貫博堂と俊英たち」は、白甕社設立以前に庄内の学生たちへ優れた美術教育を施し、数多くの美術家の才能を開花させた小貫博堂氏(1879―1960年)と教え子たちを紹介している。

 小貫氏は荘内中学校(鶴岡中学校の前身)の美術教師を務め、在職中に東京美術学校(現東京芸術大)へ30人近い教え子を入学させた。首席で入学、卒業する生徒も多く、当時の東京美術学校在校生は「荘内勢」と呼び一目置いていたという。小貫氏が庄内に美術の文化を根付かせ、白甕社設立の契機となった。

 いずれのパネルも写真や本人が描いた作品などが添えられている。展示は来年3月25日まで。入場無料。

創立100周年の白甕社に関わった数多くの芸術家たちを紹介する企画展
創立100周年の白甕社に関わった数多くの芸術家たちを紹介する企画展



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