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2024年(令和6年) 5月29日(水)付紙面より

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飛島の海岸清掃活動に感じる事

 どうして海洋漂流ごみが無くならないのだろうか。見た目には青く、美しく見える海だが、増え続けるプラスチック類などの漂流物は、生態系に悪影響を及ぼしている。解決策というより、漂流ごみを減らすにはどうすればいいかは分かっている。人々が安易にごみを捨てなければいいことだ。プラ製品は分別回収するだけで資源として再利用されるのに。

 酒田市飛島で、今年も「飛島クリーンアップ作戦」が行われた。飛島は海流の関係でごみが漂着しやすい。高齢化が進む島民の力だけではどうすることもできず高校生、大学生、一般の参加者らが定期船で島に渡って海岸を清掃した。東北公益文科大学の開学時の学生のボランティア活動がきっかけで始まり、今年で24回目になる。

     ◇       ◇

 今回は島の西海岸で行われプラ製品、ペットボトルなどを回収した。生活系のごみだけでなく、発泡スチロール製の漁具や漁網なども多く目につく。回収した約2・5トンのごみは海岸から島の中央の道路近くまで“バケツリレー方式”で運び上げ、いずれ船で酒田港まで運んで処分する。高台まで運び上げるのは以前、波打ち際から離れた場所に仮置きしたごみが、高波で流されるという苦い経験を繰り返さないため。

 海岸のごみを減らすため、県は「海岸漂着物対策推進地域計画」で、「素足で歩ける庄内海岸」を目指している。官民一緒になっての取り組みだが、なかなか美しい海岸を取り戻すには厳しい状況が続いている。きれいにしても一度海が荒れるだけで大量のごみが流れ着く。漂流ごみを減らすことは容易でない。地道な活動の精神を次世代に引き継いでいかなければならない。

 飛島は秋田県にまたがる環鳥海圏エリアで、「鳥海山・飛島ジオパーク」になっている。ジオパークはギリシャ語の大地「ジオ」と、英語の公園「パーク」を合わせた造語で「大地・自然公園」の意味。飛島は、火山噴火や地殻変動などの営みで誕生した様子にじかに触れて学習できる環境を持っている。そのような環境は、きれいにして守っていかねばならない。

     ◇       ◇

 「海を汚しているのは、あなたかもしれない」―。オーバーな言い方ではなく、海岸を汚しているごみの7~8割は、用水路や川を流れて海にたどり着く。つまり陸地が発生源になっている。「飛島のことだから」と、人ごとではいられない現実である。

 クリーンアップ作戦だけで、飛島の海岸がいつまでもきれいであり続けることはできない。漂流ごみは生態系に悪影響を与え、人の健康をも害する。ボランティア活動を通じて、海岸をきれいにする意識を啓発し続けていくところに、大きな意義がある。わたしたちにできることは、まず「分別すれば資源」ということを心に刻み、少しでもごみを出さないことに尽きるのではないか。

画像(JPEG)



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