2024年(令和6年) 5月30日(木)付紙面より
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「夜明けのうた」などのヒット曲で知られる酒田市出身のシャンソン歌手、岸洋子さん(本名・小山洋子、1934―92年)の回顧展が、市総合文化センターモールで開かれ、コンサート時の写真やフライヤー、ポスター、レコードなどの資料を通じ、今だ全国に多くのファンを持つその歌と人生に光を当てている。
岸さんは浜田小時代に声楽家・故加藤千恵氏(市名誉市民)に師事。酒田東高、東京藝術大声楽専攻科卒業後、オペラ歌手を志したが、病気のため予定していたドイツ留学を断念し治療に専念。エディット・ピアフのレコードを聴いたことをきっかけに1959年、シャンソン歌手としてデビューした。64年に「夜明けのうた」、70年に「希望」で日本レコード大賞歌唱賞を受賞。70年9月、酒田公演の直後に倒れて入院。膠原(こうげん)病と診断され、闘病しながら演奏活動を継続、76年10月の酒田大火直後は全国でチャリティーコンサートを開き、収益金を復興のため同市に寄贈した。
生誕90年と33回忌を迎えたことを受け、岸さんの楽曲を歌い継いでいくことを目的に諸活動を展開している同市の音楽団体・岸洋子を歌いつぐ会(櫻田常夫会長)が回顧展を企画。会員ら所蔵のレコードジャケット、リサイタルを告知するフライヤー、レコード発売時のポスター、新聞記事など約70点を展示している。
教育情報誌「山形教育」1991年5月号に寄稿した、岸さん直筆の原稿(コピー)、83年に発行した著書「さくらんぼの楽譜」などが来館者の目を楽しませている。入場無料。6月1日(土)まで。
一方、歌いつぐ会が主催する岸さんにまつわる音楽イベントが同日、同センターホールで開かれる。チケットは既に売り切れている。